昇格即先発の鷹・川瀬 デビュー戦の緊張、喜び、悔しさ… 「空回った…」
2度の満塁のチャンスに凡退し、デビュー戦は4打席無安打
目標にしてきた舞台は、緊張と喜びと悔しさが入り混じった。ソフトバンクの3年目、川瀬晃(ひかる)内野手、20歳。23日にプロ初の1軍昇格を果たすと、その日の西武戦でいきなり「9番・遊撃」でスタメン出場。無安打に終わったものの、光る守備を見せ、期待感を感じさせてくれた。
オープン戦の経験を開幕前に積んでいたとはいえ、やはり1軍の公式戦は別物。デビュー戦ということで「緊張はありました」。2回に回ってきた第1打席。1死一塁でのプロ初打席は二ゴロ併殺打に終わった。4回は2死満塁の絶好機で打席に立ったが、三邪飛に倒れた。
6回には上林、福田、代打・グラシアルの3連打で1死満塁としたところで、打順が巡ってきた。1点ビハインド。ここで工藤公康監督はじめホークスベンチは代打を送らずに、そのまま川瀬を打席に立たせた。「嬉しく思いましたし、期待に応えたかったですけど…」。西武・十亀の初球を積極的に打ちに行ったが、結果は最悪の二ゴロ併殺打。ファームで4割近い打率を残してきたものの、デビュー戦は4打席ノーヒット、チームも敗れた。
ただ、7回の金子一、8回の栗山のゴロを軽快に捌くなど、守備面では上々のプレーを展開。元来、その守備力と、投手として最速140キロ超を投げられる野球センスを高く評価されていた存在で「打撃がダメなら守備で、と思っていた。守備機会もたくさんあって、持ち味は出せたと思います」と振り返った。
西武・源田壮亮と同じ大分商高出身の川瀬。自主トレで師事する今宮の怪我によって巡ってきたチャンスで、憧れの高校の先輩と同じ舞台に立った。「オープン戦は順位もないし、シーズンではそういうところで勝負している。いい意味で緊張感がありましたし、今後の野球人生をやっていく中でのスタートラインに立てたかなと思います」。
「全部ひっくるめて、いいこと、悪いことがありました。グラウンドに立てたことが1番の収穫。自分の力が改めて分かった。頭と体が一致しなくて、空回っていたところがありました。心と体の準備は怠らずにやっていこう思いました」。悔しさもちょっぴり滲ませながら、デビュー戦を振り返っていた川瀬。あどけなさの残る、愛くるしい外見。プロ3年目の20歳。プロとして、大きな1歩を踏み出した。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)