日ハム栗山監督が受け継ぐ「日本一のバトンタッチ」 道を究めた剣士の言葉とは
野球と剣道、異業種交流で得たもの
2000年に全日本選手権で優勝し、世界選手権では団体戦4度、個人戦1度の優勝を果たしている栄花さんには、大きな大会前に必ず実行していることがある。稽古で使った道場の雑巾がけだ。「雑巾がけをしたからと言って、何か技術が成長するか、スピードが速くなるかと言えば、わかりません。でも、心が落ち着いて清々しい気持ちで臨むことができます。技術だけではなく、物や人に感謝して臨んでいますというお話をさせてもらいました」
その言葉は栗山監督の心に響いたようだ。「本当に道を極めるのはああいうことなんだろうなって。そこから学ぶことはすごく大切。栄花さんたちの生活というのは、まず道場に行って、礼に始まり、雑巾がけから始まる。日本人が持っている、大切にしなければいけないことがそこにある。そういうところは、ものすごく野球に近い。選手たちの成長というか、プレーを見ているとそう感じる」と語る。
野球と剣道。共通点が少なそうに見える競技からも学び、若い選手を育てるための力に変えていく。「日本一のバトンタッチ」というセレモニーの陰には、栗山監督らしい異競技交流のエピソードがあった。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)