ロッテ、球団広報が語る「We Are」誕生秘話 「選手が作り上げるファンサービス」

ロッテ・梶原紀章広報【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】
ロッテ・梶原紀章広報【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

休日には他球団の球場に行き試合を観戦「ハッとさせられることが多い」

 同時に意識しているのが「観客の目線」だ。梶原氏は休日になると他球団の球場へ行き、スタンドから試合を見ることも多いという。

「昨年は神宮、東京ドーム、横浜などに行きました。息子と一緒に見に行くのも大事なんですよ。『何でだろう?』という質問や場内演出に対する『カッコいい』という反応にハッとさせられることが多いです。こちらが良いと思ってやっていても、観客から見て『何やっているのか分からない』と感じたらダメですし。見ている人がどう見ているかを大事にしたいです」

 球団のSNS発信など、球団広報の仕事は以前よりも領域が格段に広がっている。その狭間で葛藤する面もある。

「多様化してますよね。10年前と比べると本当に難しい…。何を持って成功なのか答えが見つからないと思います。例えば千葉ロッテファンに対して情報を多く発信しても、一般の人たちに伝わらなかったらある意味失敗じゃないですか。その逆でも同じですよね。本当に答えが見つからない。ブラックホールのようなものです。それに加えて情報は毎日出さなければならないし、日々変化していきます。例えば来週情報を出そうとしても、その時になって『タイミングは今じゃない』となるときもある。突発的なニュースもあって、長期ビジョンがなかなか立てられない難しさもあります」

 そんな状況の中でも、梶原氏が大事にしているのはシンプルな思いだ。

「大事なのは『人間を伝える』です。温もりというのか、温かいものを伝えなきゃいけないと思います。プロ野球は勇気や夢を与えるものなので、選手が悩んだり苦しむ中、どう努力して乗り越えたかを伝えるのが一番の使命。いろいろ悩むことはありますが、『明日から頑張ろう』と勇気を与えられるような情報を発信することに行き着きます」

 コラム執筆、「広報カメラ」、SNS、メディア対応…。梶原氏は「千葉ロッテの球団、選手をより多くの人に知ってほしい、そして感情移入してほしい」と願いながら、日々の仕事に向き合っている。

(「パ・リーグ インサイト」武山智史)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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