【1軍をマクレ】「プロだけで記憶に」―「ミラクル星稜」のエース、ロッテ右腕が歩む1軍への道

手術後に超えた150キロの壁

 リハビリを終え、実戦マウンドに戻ったのは3年目の2017年。「怖かったです。また肘が飛んじゃうんじゃないかなって。でも、最初の試合を投げ終えたら『大丈夫だな。ある程度は腕が振れるな』って少しずつ感覚が戻ってきた感じです」と振り返る。だが、ボルトを埋め込み、靱帯を再建した“新しい”肘。慣れるまでには時間がかかる。何も考えず思い切り腕を振れるようになったのは「今年ですね」という。

「去年と今年は腕の振りが全然違う。もうひと伸びできてる感覚があります」という感覚に間違いはないだろう。今年に入って球速が大きくアップし、時速150キロの壁も超えた。肘の状態がいいことに加え、キャッチボールの相手になってもらった高野圭佑の投球フォームを研究した。

「キャッチボールをしながら、なんであんなに速い球が投げられるんだろうって考えましたね。僕が思ったのは、150キロ出る投手は投球動作の中でボールが一番高い位置に来てから手を離れるまで、腕の振りがめちゃめちゃ強いんです。押し出す感じ。強いというか速い。僕は元々うまくスピンをかけてきれいに投げるタイプだったんですけど、そこはあまり気にせずに、フィニッシュを強く速くというイメージを持ったらいい方向につながりましたね」

 149キロと150キロの差は大きい。「投げたら、もうミットに入ってる感じ」だと言い、一度味わうと何度でも試してみたくなる感覚だという。当面の目標は「高野さんが154キロを出したんで155キロまでは。高野さん超えはしたいです」と大きな笑みを浮かべる。簡単に達成できる目標ではないが、そこに達するヒントは得た。

「腕の振りだけじゃなくて、体幹の部分=回転軸にスピードを加えられるか。でんでん太鼓の要領で、体の中の回転軸が無駄なくコンパクトに回転すれば、自然と腕の振りも速くなると思うんです。そういうイメージを持っていますね」

「早く壁にぶち当たりたいです」

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