古豪のプライドを持って100回目の夏に挑む主将 京都・龍谷大平安が4回戦進出

原田監督は100勝に向け「この夏は命がけで戦わないといけない」

 それだけに、今年は何が何でも達成しなければならない。指揮官は、その100勝に向け「この夏は命がけで戦わないといけない」と再三口にしてきた。主将ももちろん、その思いのために懸命に動いてきたつもりだ。「とにかく夏の甲子園に行かないと。そのために自分が打つ方でも言葉ででも引っ張っていかないと」と必死にチームを鼓舞してきた。

 そんな中、松田は今夏の京都大会で選手宣誓を引き当てた。龍谷大平安としては平安当時も含めて選手宣誓を務めるのは初だった。宣誓文は原田監督がアレンジし、開会式までは毎晩10回、宣誓文を読み上げて頭に叩き込み、移動のバスの中でも紙に穴があくほど宣誓文に目を通した。その積み重ねがあって、開会式では堂々とした姿で大役を務め終えた。

「自分でも完璧だと思えたほど。思ったよりすらすらと言えたし、(選手宣誓を)務めることができて良かったです」。以降、立ち振る舞いにも力強さが増した。開会式での教え子の姿を見た原田監督は「100回大会にあんな大役を引き当てるなんて、“持ってる”としか言いようがない。あの宣誓を聞いて、涙が出ましたよ」と感激したという。

 宣誓を経験し、さらに主将としてスケールアップしていく松田だが「キャプテンとして“優しい”と言われているようではダメ。自分にもまだ甘いところはあるし、試合はまだ続くので、次も引き締めていかないと」と表情は緩まない。「OBの方や応援して下さる方が味方についてもらっているような気がするんです。そういう方のためにも、何としても勝っていきたいです」。全国屈指の古豪の偉業を成し遂げる日まで、背番号「6」の戦いはまだまだ続く。

(沢井史 / Fumi Sawai)

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