怪我に苦しんだ神戸国際大付の4番谷口 「チームを鼓舞する一打を」
冬場に肩を痛め、3月には右手首を骨折、背番号は12に…
第100回全国高等学校野球選手権東兵庫大会は9日、3回戦が行われ、神戸国際大付が10-0で甲陽学院に5回コールド勝ちし、4回戦に駒を進めた。
打線が爆発して大勝した隣で、ホッと胸を撫で下ろす選手がいた。4番に座る谷口嘉紀だ。1年秋に公式戦に初出場し、近畿大会準決勝の大阪桐蔭戦で9回に同点ホームランを放ち、その名を轟かせた。昨年、春夏連続で出場した甲子園でも中心打者として上級生に負けない長打力を発揮し、夏の甲子園では2打席連続ホームランを放った右の強打者だ。
だが、冬場に肩を痛め、今年の3月には練習中に右手首を骨折。ケガが続いた。思い切りバットを振れない日々が続き、実戦復帰を果たしたのは、6月に入ってから。それでもフルスイングができた訳ではなく「調子もなかなか上がらなくて、自分の思うようにバットが振れなかった」という。
試合を重ねながら様子を見ていき、ようやく手応えを掴めたのは6月末の練習試合だった。ただ、実戦経験や経験値を上げたライバルがいたため、この夏の背番号は12。去年に比べるとホームランの数もそれほど伸びていないが、谷口にはネガティブな姿勢は見受けられない。
「自分はチームを鼓舞する一打が打てればいいです。それより、4番に座らせてもらっている以上、勝てるバッティングができればいいので。ホームランはその延長で打てたらいいです」
目指す身近な存在がいる。昨年のチームで4番に座った猪田和希(現JFE西日本)だ。昨年夏の県大会では逆方向にホームランを放つなど高校通算28本を数えるスラッガー。猪田とは毎日のように連絡を取り合う仲で、お互いの打撃の動画を送り合い、アドバイスをする仲でもある。
昨日も自身の動画を送って猪田にチェックしてもらった。「色々冗談も言いますが、猪田さんの話は参考にさせてもらっています。ホームランの数は自分が上回りましたけれど(40本)、猪田さんのようにここという場面で打てる打者になりたい」。まだ夏はこれから。再び夏の聖地に戻るまで、さらにギアを上げていく。
(沢井史 / Fumi Sawai)