報徳学園の小園が決勝弾 胸に秘める思い「何が何でも甲子園」
7回に放った高校通算37本目のアーチで春に敗れた宿敵にリベンジ
第100回全国高等学校野球選手権記念大会の東兵庫大会は22日、4回戦が行われ、報徳学園が滝川二を4-2で下してベスト8に駒を進めた。
試合を決めたのは、プロも注目する小園のバットだった。鋭く振り抜いた打球は大きな弧を描いでセンターバックスクリーンに吸い込まれていった。「フルスイングしました。入るかな、と思いながら一塁ベースを回ろうとしたら(バックスクリーンに)入ったのが分かりました。ちゃんとした球場で打ったことがなかったので自分でも驚きました」。7回に放った高校通算37本目となるホームランは、試合を決める貴重な一打となった。
ちょうど3か月前の4月21日。同じ姫路球場で滝川二と春の県大会2回戦で戦った。四球で毎回のようにチャンスをもらいながら決定打が出ず、打線は5安打に抑え込まれて1-2で敗れた。この試合で小園は3打数無安打。4月上旬に地区大会で左足をスパイクされてケガを負い、実戦に復帰したばかりで状態も万全ではなかったが、あの敗退が夏への思いを強くした。
「何が何でも夏の甲子園に行く」。直後のゴールデンウイークに強化合宿を敢行し、厳しい練習に全員で向かい合っていくうちに夏への思いが強くなった。チームが結集していく中、己も磨いてきた。体重を増やすというより「ベスト体重をキープしながらパワーもつける」。79キロをキープしつつ、早朝練習も重ねてバットを振り、スイングに力強さが増した。酷暑が続く中、食欲は旺盛で今朝も肉がたっぷり乗ったビビンパ丼をたいらげた。今は体重が80キロになったが「この暑さにバテないように。これくらいでもいいです」と笑う。
何より小園の普段の表情にも変化が出てきたと大角監督は言う。「1打席目と2打席目に凡退して、普通ならイライラすると思うんです。でも、ちゃんと切り替えて(3打席目は二塁打、4打席目で本塁打を)打つことができた。練習では一足早くグラウンドに出てきてバットを振っていたり、この試合に賭けているという気持ちが伝わりました」。
もちろん、これが終わりではない。「まだこの先もあるので、しっかり切り替えていきたいです。夏の甲子園に行くまで、ホッとできません」。春のリベンジは果たした。だが、夏の甲子園までの険しい道のりはまだまだ続く。どこまでも進化を続ける背番号6が大一番の試合でこの上ない存在感を見せつけた。
(沢井史 / Fumi Sawai)