プロ注目・最速147キロ右腕が終えた完全燃焼の夏「いつかプロに行きたいです」
相次ぐ怪我も、最後の夏に「何とか間に合わせた」
5月の下旬から1イニングずつ投げて実戦感覚を取り戻し、6月下旬には7回まで投げられるようになったが、永井監督は不安を隠せなかったという。「冬場に思うように練習ができていないので、夏にどれだけ粘って投げられるのか。今日の試合でも後半でバテるのではと思いました」。
だが、バテるどころかストレートの威力はまったく衰えず、フォーク、スライダーはさらに切れ味を増していく。「2回に打たれても切り替えられたし、自分のテンポで投げられました。ずっと待ち望んだ私学との対戦。でもストレートで力勝負にいっても相手はスイングが強い。スピードより球の回転数を意識して、左打者にはフォーク、右打者にはスライダーをうまく投げ込んでいけました」と胸を張った。
特に楽しみにしていたのが、プロも注目する1番・小園海斗との対戦だった。「向こうは自分に比べたらずっと上の人。でも、同じ高校生だし、ここで自分が力を発揮したら自分も注目してもらえるかもしれないと思って」と強気に攻めた。8回には自信のあるフォークをうまく落として空振り三振を奪うなど、無安打に抑え込んだ。
1点が最後まで重くのしかかった試合だった。「いいピッチングはできても負けは負け。冬場にもっと練習できていたら、2回は抑えられたのかもしれません」と悔しさをにじませた。だが、結果以上に得た自信はあまりにも大きかった。「今後のことはこれから考えますが、いつかプロに行きたいです」と、さらなるステージでの糧にしてみせる。
(沢井史 / Fumi Sawai)