「このままでは…」 快投の西武菊池、2段モーション“封印”を決断したワケ
「フォームに慣れるまでは自分との戦いだった」
「今日のフォームに慣れるまでは自分との戦いだった」と語った菊池は、序盤の4回まで毎回安打を許し、しかも2回以降は毎回得点圏にランナーを置く苦しい投球となった。ボールを受けたキャッチャー炭谷も「序盤は落ち着かない感じだった」と、ミット越しに菊池の苦闘を感じ取っていた。しかし、「ばらついてはいたけど、球自体には力があった」と炭谷が振り返ったように、ピンチを招きながらも力のこもった投球で要所を抑え、試合をオリックス・アルバースとの投手戦へと持ちこんだ。
バッテリーが「後半は良くなった」と口を揃えた5回以降の投球では「今季一番できていなかったインコースへのストレート。それが、何球かいいボールがいくようになって、自分でもなんでそこに投げることができているのか分かってきた」。この日の収穫を菊池は少し嬉しそうに語った。
8回終了時点で、投球数が117球に到達。交代も考えられる中、9回は「回を追うごとに良くなっていたので、どうせならもう1イニング投げて(身体に)定着させたい」と自らの意思で続投を決意。9回127球1失点の内容で延長10回サヨナラ勝利を呼び込み、チーム4連勝に大きく貢献する投球を見せた。
結果的に自らの勝利とはならなかったが「(エースという)自分の立場ではそういうことへのこだわりは持っていない。チームが勝てればいい。終わりよければすべて良し」と額を流れる汗をぬぐった菊池。その表情は明るかった。
炭谷も今回の投球に「だいぶ(球を)受けている感じも変わってきたから、この感じで続けていければ」と手応えを感じ「(投球の)タイミングが合えば球速も上がってくるし、投球も安定してくるので続けよう」と菊池に話しかけたという。
「最後の方はいい感じで投げられたので、また来週楽しみです」と自身の投球への手応えに時折、笑顔を交えて語っていた菊池だったが、最後は「来週からは(登板は)金曜日に戻り、またすごくいいピッチャーが出てくると思うので、今日のように粘り強く投げられればと思います」と、視線を今後も続く厳しい戦いへと向けていた。
(岩国誠 / Makoto Iwakuni)