鷹に雪辱果たした西武・多和田 「あの試合が大きかった」意識を変えた一戦
9回4失点完投勝利で今季11勝目をマークした多和田
■西武 7-4 ソフトバンク(31日・メットライフ)
西武の多和田真三郎投手が、雪辱を果たした。7月31日、本拠地メットライフドームでのソフトバンク戦に先発。16日の対戦で4回途中14安打11失点と大炎上を喫した相手に9回4失点で完投勝利を飾った。
「技術の変化はないが、強い気持ちでやってやる」と覚悟を持ってマウンドに上がっていた多和田。リベンジを果たし「嬉しいです」と、ためらいがちながら素直にコメントし「1人づつしっかり抑えることを考えながら投げた」と、目の前の打者1人1人に集中して投球した結果であることを、勝因に挙げた。
5月19日のオリックス戦以来となる今季2度目の完封も見えた9回に4点を失い「完封への意識は少しあった。それがダメだと思う」と反省。しかし、この9回にこそ、多和田自身の投球への強い気持ちを感じる場面が見られた。
先頭の上林に二塁打を打たれ、無死二塁で今宮を迎えた場面。3ボール1ストライクと打者有利とされるカウントから、多和田は真ん中へのストレートを選択した。結果、左前適時打で失点することとなった。
あえてストレートで勝負に行った意図について「ストライクゾーンで勝負していこうというのがあった」と、この日の投球プランを語った上で「完封よりも、フォアボールを出してランナーを溜めたくなかった。だから『打たれてもいい』という考えで行った。結果的には打たれてしまったが、そういう考え方でよかったと思っています」と、攻めの投球を貫いた自らの姿勢に納得の表情を浮かべていた。
その結果、9回に4失点を喫したものの、自身2度目となる無四球での完投勝利に。これに辻発彦監督は「四球は大量失点の原因にもなるし(無四球だと)試合にリズムが生まれてくる。守りやすくなるし、ありがたいこと」と評価する。
「あいつはエースにならないといけない」と、16日のソフトバンク戦であえて4回もマウンドに送り、奮起を促した辻監督。その期待に応えた2試合連続完投に「2試合の投球が、多和田の自信になってくれれば」と指揮官。多和田も自ら「あのソフトバンク戦が大きかった」と意識改革のきっかけに挙げた。
これで11勝目を上げた多和田。「野手の皆さんがたくさん打ってくれたので、自分も本当にラクに投げられた」と、ソフトバンク先発・千賀から5本塁打7得点をあげた強力打線への感謝も忘れてはいなかった。
(岩国誠 / Makoto Iwakuni)