清宮VS櫻井、岩見VS宮台…ファームは選手同士の「物語」に深みをつける
清宮&安田&櫻井は高校時代から敵→味方→再び敵に
オープン戦とはいえ燃えないわけがないシチュエーションだったが、清宮のバットは初球のカーブに空を切ると、2球目の変化球をファウル、最後はアウトローの速球を見送り、3球三振に倒れた。わずか60秒で終わった勝負は櫻井に軍配が上がり、直後から清宮の「オープン戦19打席連続無安打」を報じる見出しが躍った。
しかし、清宮はファーム公式戦が開幕すると、4月に4本の柵越え。5月に1軍昇格を果たしてプロ初本塁打も記録し、再びファームを主戦場とした下旬からは24試合で11ホーマー。わずか39試合の出場で15本塁打を放ち、現在は堂々、2軍全体のホームランリーダーである。
アーチを量産する過程でも、清宮は櫻井との対峙を重ねている。4月30日のイースタン・リーグ公式戦(平塚)では、先発した櫻井から四球を選び、第2打席で犠飛も放った。日本ハムが2イニングスで5点を奪う攻撃に貢献し、一矢報いた格好だ。
もう1人の大物ルーキー・安田尚憲内野手(ロッテ)も、櫻井にはきりきり舞いさせられていた。履正社高校3年時に出場した選抜高等学校野球大会では準優勝を果たしたが、その初戦で日大三高校のサウスポーにまったく自分のバッティングをさせてもらえず、3打席連続三振を奪われている。プロ入り後は3度の対戦で1安打2四球と、やや盛り返した。
さかのぼればこの3人は、昨年の9月に開催されたU-18ベースボールワールドカップに日本代表として出場している。櫻井が唯一登板した南アフリカ戦で清宮は本塁打と二塁打を1本ずつ、安田は二塁打を2本放った。
敵から味方に、プロでは再び敵へ。パ・リーグの未来を担うと期待されるスラッガー2人が所属するチームは、DeNAとの対戦を6試合ずつ残している。今季中にまだ見られそうな、見応えのある勝負だ。