打者は井上、投手はディクソン セイバー目線で選出する7月パ月間MVP
セイバーの指標ではディクソンの評価が1位、有原は4被弾が響く
◯7月月間MVP パ・リーグ投手部門
ディクソン(オリックス・バファローズ)
登板4 2勝0敗防御率2.74
FIP1.69 RSAA 6.24(リーグ1位)WHIP1.09 QS率66.7% K/BB3.25
候補選手は7名ですが、有力候補の月間成績はこちらです。
ディクソン(オリックス)
防御率2.74 23回 2勝0敗0S 奪三振率10.17 被打率.200
有原航平(日本ハム)
防御率1.52 29回2/3 3勝0敗0S 奪三振率5.46 被打率.202
ハーマン(楽天)
防御率0.00 9回 0勝0敗6S 奪三振率10.00 被打率.133
勝ち星、防御率ともにリーグ1位、完投も1試合記録している有原航平(日本ハム)がNPB月間MVPの最有力候補と言えるでしょう。ただ7月の楽天躍進の立役者の一人、ハーマンも月間防御率0.00、9試合6セーブ、被打率.133とかなりの好記録ですので、対抗馬として挙げておきましょう。
では、セイバーメトリクスによる評価ではどうなるでしょうか。
ディクソン
FIP 2.03 被本塁打0 WHIP 1.09
QS率 66.7% K/BB 3.25 RSAA 6.24
有原
FIP 4.16 被本塁打4 WHIP 0.88
QS率 75% K/BB 4.50 RSAA 1.02
ハーマン
FIP 1.90 被本塁打0 WHIP 0.78
QS率 ―― K/BB 3.33 RSAA 2.58
有原は被本塁打4が大きくFIPに響いてしまった形になりました。規定投球回数以上の投手の中で、ディクソンがFIP、奪三振率がトップで、被本塁打0も特筆すべき数値です。ハーマンもFIP1.90、WHIP0.78、被本塁打0とかなり優秀で甲乙つけがたい成績でありました。ここでRSAA(Runs Saved Above Average)という、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す指標
(リーグ平均FIP-選手個人のFIP)×投球回数/9
によって比較した結果、リーグ1位の数字を示したディクソンをパ・リーグの月間MVPに推挙いたします。そして楽天7月躍進の立役者である救援投手陣の活躍も評価いたします。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。