元メジャー右腕も感心する金足農・吉田の野球脳 「高校生離れしている」
17年ぶり4強入りを逃した近江は「9回によそいきの野球になっていた」
17年ぶり4強入りが目前まで迫りながらも、惜しくも敗れた近江について「紙一重でしたね。2年生のキャッチャー有馬君とレフト住谷君、1年生のショート土田君と来年以降も面白そうです」と期待を寄せる。その一方で「9回に攻守にわたって少しよそいきの野球になっていたような気がします」と指摘する。
「9回表、無死一、二塁の場面で、なぜ送りバントをしなかったのか。送って1死二、三塁にすれば、マウンド上の吉田君にプレッシャーがかかったはずです。投手心理として、試合終盤に得点圏に走者を置くのは嫌ですから。あそこで1点ダメ押しできていれば、勝てる確率は上がっていたでしょう。
9回裏もいつもだったら、背番号1の金城君を投入していたはず。2年生の林君も非常にいい投手ですが、あそこで普段と同じ継投策を獲らなかったのはなぜか。事情があったのかもしれませんが、少し普段とは違っていましたね」
金足農は1日オフをはさみ、20日に日大三と準決勝を戦う。ここまで615球を投げた吉田が甲子園で5戦目の先発マウンドに上がることは、ほぼ確実。準々決勝での投球を見て「高校生の若さだと一晩寝るとあんなに回復するのかと思いました」と話す藪氏だが、吉田の“投げ過ぎ”について心配する気持ちは変わらない。これまで自身の周りでも故障が原因で選手生命を短く終えた投手を見てきたからこそ、警鐘を鳴らし続ける。
「いくら好投しても、投げ過ぎであることには変わりません。将来がある投手だからこそ、無理がないように大人がしっかり管理しないといけないと思います。特に日程が詰まるトーナメントでは、どうしても投手に負担がかかる。肘の靱帯や肩を怪我したら、なかなか復帰は厳しいですから」
準決勝は「おそらく3、4点の攻防になるでしょう」と予測する。「強打の日大三高が3番の日置君を中心にどんなバッティングを見せるのか。勝敗の鍵を握るのは、送りバントだと思いますね」。
悲願の優勝まであと2勝。両校の戦いに注目したい。
(Full-Count編集部)