大阪桐蔭・柿木は奪空振り率25%で翻弄…データで見る甲子園【準々決勝1】

鉄壁守備を誇る報徳学園、今大会初失策が決勝点につながる

◇済美 3-2 報徳学園

○攻撃指標(カッコ内は3回戦までの平均)
【済美】
打率 .333(.273)
OPS .722(.760)
wOBA 0.357(.355)
P/PA 4.10(3.66)
O-swing% 33.0%(27.1%)
Z-swing% 72.4%(62.8%)
Z-contact% 87.3%(92.1%)

【報徳学園】
打率 .276(.283)
OPS .667 (.731)
wOBA .350(.323)
P/PA 3.11(3.84)
O-swing% 29.0%(30.8%)
Z-swing% 76.6%(73.7%)
Z-contact% 97.2%(84.2%)

○済美・池内優一投手の各指標
打者18 投球数52 WHIP 1.38
ストレート平均球速137.7キロ 最高144キロ
Zone% 48.1% 空振り奪取率 9.6% 見逃され率 13.5%

○済美・山口直哉投手の各指標
打者17 投球数57 WHIP 0.86
ストレート平均球速138.0キロ 最高142キロ
Zone% 38.6% 空振り奪取率 12.3% 見逃され率 7.0%

 1点を争う好ゲームとなりましたが、打撃指標のわずかな差がその点差に現れたのではないでしょうか。

 報徳学園の1番打者・小園選手は3回戦まで5度の出塁が4度の得点につながるというリードオフマンぶりを発揮していましたが、この日は3打数ノーヒット。死球で1度出塁しましたが点には繋がりませんでした。さらには地方予選を含めここまで無失策を記録していた報徳学園守備陣が、9回に初めてのエラーで出塁を許し、それが決勝点に結びつく結果となってしまいました。

 9回裏、2点差を追う報徳学園は4番、5番の連打で1点差に詰め寄り、さらには2アウトながら三塁までランナーを進めます。代打・森本選手に対し、2ストライクと追い込む済美バッテリー。ここで空振り奪取率19%のスライダーを投じたいところですが、2回戦の星稜戦で3度もワイルドピッチを記録しており、同点のリスクも背負うことになります。それでも意を決して投じられたスライダーは見逃され、地面に叩きつけられるも芦谷捕手が必死にカバー。そして再びスライダーを選択するバッテリー。バットが空を斬るも捕球できず三振不成立。しかし、芦谷捕手は落ち着いてボールを拾い、一塁に投じて試合終了。この試合の全ての得点に貢献した芦谷捕手でしたが、最後は数字に残らない守備での貢献が光りました。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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