金足農・吉田のボール球を近江は約40%振る…データで見る甲子園【準々決勝2】
近江のO-swing%は30%台から40%台に上昇
◇金足農業 3-2 近江
○攻撃指標(カッコ内は3回戦までの平均)
【金足農業】
打率 .250(.322)
OPS .585(.946)
wOBA 0.329(.415)
P/PA 4.08(3.66)
O-swing% 38.6%(21.1%)
Z-swing% 60.9%(65.3%)
Z-contact% 87.2%(86.6%)
【近江】
打率 .219(.343)
OPS .524(.921)
wOBA .302(.434)
P/PA 3.89(3.57)
O-swing% 40.6%(30.5%)
Z-swing% 63.4%(61.9%)
Z-contact% 82.2%(90.4%)
○金足農業・吉田輝星投手の各指標
打者36 投球数140 WHIP 0.89
ストレート平均球速138.8キロ 最高146キロ
Zone% 50.7% 空振り奪取率 15.7% 見逃され率 18.6%
サヨナラ2ランスクイズというサインを出した中泉監督ですら予想だにしなかった結末で金足農業が勝利し、34年ぶりのベスト4進出を決めました。
近江は3回戦までOPS0.921の強打で勝ち上がってきましたが、O-swing%が30%以上とボール球に手を出す傾向が強いチームでもありました。金足農業・吉田投手のゾーン内外満遍なく散りばめられる投球にタイミングが合わず、O-swing%はなんと40%台にまで上昇しました。
金足農業も近江先発・佐合投手のスライダーや、2番手・林投手のチェンジアップにタイミングが合わず打ちあぐねていました。しかし、9回裏、先頭打者から立て続けに重ねたヒットはいずれも甘く入ったチェンジアップを狙ったもの。がっぷり四つの一戦でしたが最後は1つ先の塁を意識した走塁を決め技とした金足農業に軍配が上がりました。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。