金足農・吉田のボール球を近江は約40%振る…データで見る甲子園【準々決勝2】

準々決勝の第3試合と第4試合をおさらい
準々決勝の第3試合と第4試合をおさらい

日大三は「レイズ方式」継投、河村は4戦で奪三振率13.1

 かつて夏の高校野球選手権大会で1日3試合日程がデフォルトだった頃、準々決勝だけが1日4試合で行われ「準々の日」として人気だったそうです。もちろん現在でも、勝ち上がってきた強豪同士が戦う4試合が1日で見られるとあって大人気であることには違いないのですが。

 4試合のうち3試合のスコアが3-2という接戦だった夏100回目の準々決勝をデータで振り返ってみましょう。今度は第3試合と第4試合を見てみましょう。

◇日大三 3-2 下関国際

○攻撃指標(カッコ内は3回戦までの平均)
OPS 出塁率+長打率
wOBA 1打席あたりにどれだけチームの得点に貢献したかを表す指標
P/PA 1打席あたりの被投球数
O-swing% ボールゾーンのスイング率
Z-swing% ストライクゾーンのスイング率
Z-contact% ストライクゾーンのコンタクト率

【日大三】
打率 .192(.359)
OPS .507(1.057)
wOBA 0.237(.487)
P/PA 3.19(3.99)
O-swing% 30.4%(15.8%)
Z-swing% 69.8%(58.9%)
Z-contact% 86.7%(92.1%)

【下関国際】
打率 .214(.245)
OPS .603(.602)
wOBA .288(.310)
P/PA 4.31(4.04)
O-swing% 25.3%(19.1%)
Z-swing% 50.0%(46.5%)
Z-contact% 79.4%(91.2%)

○日大三・河村唯人投手の各指標
打者27 投球数108 WHIP 0.86
ストレート平均球速135.0キロ 最高141キロ
Zone% 46.3% 空振り奪取率 11.1% 見逃され率 22.2%

○下関国際・鶴田克樹投手の各指標
打者31 投球数99 WHIP 1.00
ストレート平均球速137.3キロ 最高143キロ
Zone% 50.5% 空振り奪取率 14.1% 見逃され率 15.2%

 3回戦までOPS1.00超えの強打を誇ってきた日大三高ですが、この試合では下関国際・鶴田投手の多彩な変化球に的を絞れず凡打が続き、7回2死までノーヒットに抑えられます。下関国際の打線はいつも通りながら少ないチャンスを確実にものにし、2点のリードを奪います。ただ惜しむらくは、1回表の攻撃。四球とヒットで2度の出塁がありながら、どちらも盗塁失敗で失うという攻撃ミスがありました。成功すれば相手投手に対して序盤から大きなプレッシャーをかけることができますが、盗塁は確実な成功が見込めなければ大きなリスクとなる作戦でもあります。初回アウトを取るのに必死だった日大投手陣を大きく助けてしまう走塁ミスが僅差での試合に大きな影響を与えてしまったとも考えられます。

 7回まで1安打に抑えられていた日大三高打線は、実は7回裏2死一塁で打席に立った河村投手が、鶴田投手の低めにコントロールされた球をことごとくファールにし、鶴田投手に10球投げさせているのです。これが伏線になったのでしょうか。8回裏、途中出場の7番・飯村選手、8番・柳沢選手、9番代打・高木選手に投じられた初球はすべて甘く高めに入ったもの。この絶好球を見逃さず初球3連打で一気に同点に追いつきます。そして、2死ランナー三塁で打席に入った3番・日置選手も高めのスライダーをライトに運び、3-2と試合をひっくり返します。

 河村投手3回からのロングリリーフながら10奪三振。登板した4試合での奪三振率は13.1となりました。それにしても、ここまでの3戦では主戦投手がリリーフに回り長いイニングを任されるいわゆる「レイズ方式」の継投を行なったチームが勝利を収めています。しかもその投手のWHIPはいずれも1.0以下となっています。高校野球界ではこの継投がこれからの主流になるのでしょうか。

近江のO-swing%は30%台から40%台に上昇

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