大阪桐蔭と金足農の勝敗を分けた守備力の大きな差…データで見る高校野球
大阪桐蔭の「フライボールレボリューション」
第100回全国高等学校野球選手権記念大会は21日に決勝が行われ、大阪桐蔭(北大阪)が金足農(秋田)を13-2の大差で破って、史上初となる2度目の春夏連覇を飾りました。試合は、5回までの攻防で大勢が決する形となりました。
この試合、5回までの大阪桐蔭のアウトを見てみると、フライアウト10、ゴロアウト1、三振4と、ボールを打ち上げていることがわかります。
金足農業の吉田投手は、もともと高めへの配球が多いのですが、この試合でも44.7%が高めに配球されています。大阪桐蔭は序盤からこの高めのストレートに的を絞ってスイングしにいってることがわかります。
○スイングした球のコース
高め 59.6%
中 26.3%
低め 14.0%
その狙いが回を追うごとに効果として現れ、3回裏の中川選手のヒット、藤原選手の二塁打、4回裏の宮崎選手のホームランは、いずれも高めに甘く入った球でした。そして5回裏、この時点ですでに94球を投げていた吉田投手の投じる球は、吸い寄せられるかのように真ん中に集まり出します。この絶好球を大阪桐蔭打線が見逃すはずはなく、7安打、12塁打の猛攻を浴びせ、この夏マウンドに立ち続けた豪腕・吉田投手に引導を渡す形となりました。
メジャーや日本のプロ野球では近年、「フライボールレボリューション」というフライボールを打つことで長打を狙い得点力を高めるという理論がありますが、体格の違う高校野球でこれをそのまま導入するのは至難でしょう。しかし、高めの球をしっかり振りにいって強い打球を弾き返すという基本を身に付けることは重要です。決勝では、大阪桐蔭の基本に忠実なバッティングによる攻撃力の強さの集大成が表れました。