吉田輝星が最速149キロ無失点デビュー 藤原と侍ポーズ共演「100点です」
10日ぶりの登板に「球速も出ていたので良かった」
侍ジャパンU-18代表の吉田輝星投手(金足農)が、ついに侍初登板を果たした。9月3日から宮崎市内で行われる「第12回 BFA U18アジア選手権」に出場する侍ジャパンU-18代表は31日、KIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎で宮崎県高校野球選抜と壮行試合を行い、甲子園で一躍脚光を浴びた右腕は2点リードの9回に登板。最速149キロ、全球真っ直ぐ勝負で無失点に封じ、大会前最後の試合を締めくくった。
1万6000人が詰めかけたサンマリンスタジアムが、この日一番沸いた。侍ジャパンU-18代表の2点リードで迎えた9回。背番号16、吉田がついにマウンドに立った。秋田県大会から11試合で1517球を投げた右腕にとって、10日ぶりとなるマウンド。その舞台でファンの期待を裏切らぬ快投を見せた。
注目の初球は145キロ。2球目が死球となって走者を出したものの、続く打者を148キロの真っ直ぐで空振り三振に。さらに、スタートを切っていた走者を小泉航平(大阪桐蔭)が刺し、三振ゲッツーとなった。
最後はこの日最速タイとなる149キロの真っ直ぐで投ゴロに打ち取り、結果的に3人で1イニングを投げ切った。試合後、久々のマウンドを終えた吉田は「1イニングという短いイニングだったんですけど、球速も出ていたので良かったと思います」と、甘いマスクを緩ませていた。
この日投じた10球は全てストレート。これには明確な意図を持っていた。「変化球を生かすも殺すもストレート。自分の得意なボールでもありますし、まずはそれを調整したいと思っていました」。10日間のブランクを考え、変化球を“封印”。最大の武器であるストレートを万全の状態に近づけるための策だった。
投球練習を終えた後には、話題を呼んだ「サムライポーズ」を、中堅の藤原恭大(大阪桐蔭)とともに披露。スタンドのファンは大歓声で大喜びだった。甲子園では注意を受けたものの、「一応、ルーティンなのでやろうと思っていました」。中堅を守る藤原との“共演”には「100点です」とはにかみ、振り返った。
ようやく侍ジャパンでの初登板を果たし、大会に向けて調整の段階が上がってきた。「まだ感覚は完全には戻ってきていないので、早く甲子園の時みたいに打者を観察したりとか、そういうことを身につけられるようにしたいと思います。ストレートはいいので、試合慣れして、あとは先発となると変化球も使っていかないといけないので、変化球の精度をあげていきたいです」と課題も語った吉田。甲子園でスターダムを駆け上がった右腕が、ついにマウンドに戻ってきた。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)