MLBとNPBを大きく分けるスイッチヒッターの存在 NPBではわずか2%…
両打を広く知らしめたのは巨人V9時代の柴田勲
NPBで両打の始祖は、草創期に阪急などでプレーしたアメリカ国籍の日系2世、堀尾文人だと言われている。しかし、あとに続く選手は長く出なかった。
両打=スイッチヒッターの存在を日本のファンに広く知らしめたのは、巨人V9時代のリードオフマンだった柴田勲だ。柴田は「赤い手袋の盗塁王」として2000本安打も記録した。
その後は、松本匡史、松永浩美、高橋慶彦、正田耕三、屋敷要、大島公一、金城龍彦などの両打の名選手を輩出してはいるが、その数はMLBに比べて圧倒的に少ない。
野球の投手は75~80%が右投げだ。右投げの投手には左打者が有利だとされる。このため、本来右打の打者が左打に転向することはよくある。右投げ左打の打者の多くは、本来、右利きで右打だったとされる。
イチローや松井秀喜など右投げ左打の名選手がたくさん出ていることから、日本の少年野球や高校野球では、右打から左打へと転向する選手がかなりいる。指導者もそれを推奨する。打線に変化が付くからだ。
しかし、日本のアマ球界では両打を推奨する指導者は少ない。プロを含めて実績が少なく、両打の指導をできるコーチがアマ球界にいないことが大きいと思われる。このため、日本では両打はプロ入りしてから習得する場合が多い。
両打の打者は左右どちらの投手がマウンドに上がっても対応できる。両打の強打者は指揮官には極めて便利な存在だ。また、両打の打者はスピード感がある選手が多い。いろんな意味で野球に複雑な要素を加味して、面白くする存在だ。
NPBにも両打のスター選手がもう少し出てきてもよいのではないかと思う。
(広尾晃 / Koh Hiroo)