【パ・リーグお仕事名鑑】元ロッテ・里崎氏が追う球団社長への道 「死ぬまでにできたら僕の勝ち」

誰もやったことのない挑戦に「これは死ぬまでの夢です」

 結果がすべてのグラウンドで16年間勝負してきたからこそ、「それが普通」と里崎氏は言う。「プロセスは評価しない」という考えは徹底している。

「『100万通りのプロセスをやってみましたけど一度も成功しませんでした』っていう人の意見、誰が聞きたいですか。そんなの、知る必要ないですよね。結果を出したからこそ、そのプロセスに価値が生まれるわけです。だから、僕は結果からしかプロセスは評価しません。頑張っているんですと言われても、みんな頑張っていますからね。逆に結果を出せるなら、ルールに則った上であれば自由に何をしてもいいと思います」

 ここまで聞くと、これまでのプロ野球界には存在しなかったような組織が生まれそうな予感もしてくる。本人の構想では、“里崎球団社長”はいつ誕生するプランなのだろうか。

「誰も登ったことのない山に登ると僕は言っているわけですから、できる確率のほうが圧倒的に低い。だから、これは死ぬまでの夢です。死ぬまでにできたら僕の勝ち。そのためには、『やりたい』と言い続けることです」

 やりたいという気持ちを発信し続ける。そうすれば、何かの拍子に「やらせてみるか」となるかもしれない。最終的に選ぶかどうかは相手次第という考えだ。

「今やっている仕事も同じですよ。この取材だって、企画自体はなくならないわけだから、僕が断ったらほかの誰かがやっていたでしょう。だから、僕じゃなくてもいいわけです。僕が断ったことでその企画が根本的になくなるのなら、それはたいしたもの。でも、そんなことはなかなかありません。ドラフトと一緒で1位から声を掛けていって、1位が無理なら2位、3位と声を掛けていく。そんな中で僕がやらなくてはいけないのが、『ここに里崎いますよ!』とみんなに知らせて、10位でもいいからテーブルの上に乗る努力をすることなんです。選ばれるかどうかは相手次第。運やタイミングまでマッチして、初めて選ばれる。それは神のみぞ知ることです」

 今できることは、いつか球団社長になった時に、「里崎がやるなら協力してやろう」と言ってくれる応援者を一人でも増やすこと。自分の考えを世に浸透させることができる解説の仕事は、その方法の一つと考えることもできるだろう。

「誰も果たしたことのない夢だからできなくて当たり前だけど、できたら面白い。『いつかできたらいいな』という気持ちが、今の毎日の活力にもなっています。きっと5年後、10年後にはさらにいい勉強ができているだろうし、その時のベストコンディションで挑める自分にだけはなっておきたいですね」

(「パ・リーグ インサイト」岡田真理)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY