地元千葉で決めた2000本安打 ロッテ福浦が「最高の形」と笑顔を見せる理由
同期入団の小野コーチ予言的中「二塁打で決める。そういう男だ」
「オレは二塁打だと思う。アイツには二塁打が似合う。そういう男だ」。2軍練習を終えベンチ裏に駆け付けた小野晋吾2軍投手コーチは、打席に向かう友の背中の見つめながら、そう言った。
中飛、遊飛、四球で迎えた4打席目。マウンドには4番手として左の小川龍也が上がっていた。左対左。今季の長打率を考えても中前打、三遊間を抜ける左前打をイメージするところ。そんな中でここまでの25年間をともに歩んできた同級生は「この打席、二塁打で決める」と言い切った。外角へと逃げていくスライダーにバットを合わせると、打球は右横に落ちた。打球処理までまだ時間があった。だから、躊躇なく二塁を陥れた。最後は足から滑り込んだ。偉業は「右二塁打」で達成された。
試合後、ZOZOマリンスタジアムの一室で行われた記者会見会場には100人を超す報道陣が集まっていた。ドラフト指名された時には記者会見場も用意されていなかった若者は、いつしか日本中の注目を集める存在となっていた。ファンへ、家族へ、そしてこれまで時間をともにしてきた監督、コーチ、選手、スタッフの仲間たちへの感謝の言葉を並べた。最後に次なる目標を聞かれた。キッパリと言い放った。
「今日、ZOZOマリンスタジアムで記録を達成してすごい歓声に包まれて改めて思いました。ZOZOマリンスタジアムで優勝を決めたい。井口監督を胴上げしたい。まだその夢が残っています。まだまだ、もっともっと打ってチームに貢献したい。そしてともに優勝を勝ち取りたい」
小さな若者は大ベテランとなった。ただ物語は2000安打で終わりを迎えない。いまだ実現をしていないZOZOマリンスタジアムでの優勝。千葉で生まれ、育ち、安打を積み重ねてきた男は、千葉での優勝を次なる夢に掲げた。そのパーツの1つとなるべく、まだバットは置かない。誰もが想像をしていなかった成長の軌跡を歩んだ男は、次なるドラマに向かって走り出す。
(マリーンズ球団広報 梶原紀章)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)