超強力打線、補強、救世主…西武の10年ぶりV、終わってみれば「当然の帰結」

4月からは一転して苦しい展開が続いた5月

 しかし、5月に入ってからは投手が試合を作れない展開が目立つようになり、勢いにやや陰りが見え始める。投手陣に関しては開幕前から懸念されていた点であり、牧田やシュリッター、野上がチームを去った影響は否定できなかった。代役として補強された高木勇、ワグナー、カスティーヨらがその穴を埋められなかったことも、この時期の苦戦につながってしまった面はあるだろう。

 加えて、前年まで不動の守護神を務めた増田と、左の中継ぎとしてフル回転していた武隈がまさかの大不振に陥り、大石も本来の投球を見せられず。さらには野田と平井も安定感を欠き、リリーフ陣は完全に機能不全へと陥りつつあった。

 だが、チームはこの危機的状況の打破に向けて、速やかに動き出す。まず、かつて広島で活躍したヒースを5月に獲得すると、7月には中日で出場機会を失っていた小川と、レッドソックス傘下でプレーしていたマーティンを相次いで迎え入れる。ブルペンの改善に向けて、その本気度が垣間見える補強を敢行した。

 その成果は、勝負どころの夏場になってから表れる。ヒースは速球とナックルカーブを武器に、8月からはカスティーヨの故障で不在となったクローザーに抜擢。その後は現在に至るまで試合を締める役割を全うしている。途中入団ながら40試合に登板して4勝1敗9ホールド11セーブ、防御率2.63という数字を残した右腕は、まさに苦しむチームを立て直した「救世主」と形容できるだろう。

 また2016年に中日で44試合に登板して防御率2.27という実績を残していた小川は、初挑戦となったパ・リーグにもすぐさま適応。幾度となくイニング途中からマウンドに上がってピンチを切り抜け、貴重な「左殺し」として冷静に自らの役割を遂行した。今季は14試合の登板で与えた四死球0とその安定感は際立っており、防御率も0.87を誇る。

9月序盤は苦しい戦いを強いられるも、終盤に大型連勝

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