超強力打線、補強、救世主…西武の10年ぶりV、終わってみれば「当然の帰結」
9月序盤は苦しい戦いを強いられるも、終盤に大型連勝
加えて、もう1人の途中加入選手であるマーティンも、初挑戦となった日本球界でそのポテンシャルを発揮。ピンチを背負う場面こそ少なくないが、150キロ超の速球と落差の大きいチェンジアップを武器にイニング数を上回る奪三振数を記録しており、自ら失点の芽を摘み取れる投球が持ち味だ。8月からの登場で、早くもセットアッパーとしての地位を確立し、20試合2勝1敗9ホールド、防御率2.29という好成績を残している。
そして、シーズン途中ではなく開幕前に補強された選手のうち、忘れてはならないのが、榎田大樹投手だ。岡本洋介投手とのトレードでチームに加わると、序盤戦から安定感のある投球を続け、今や投手陣の屋台骨を支える存在に。キャリアハイの4勝を大きく更新して自身初となる2桁勝利を達成し、先発として完全に一本立ちを果たした。
このように、補強した4選手がいずれも期待以上の大活躍を見せるという嬉しいサプライズがチームを後押し。7月に入ってからは野田と平井も復調し、これまで素質を高く評価されながら伸び悩んでいた相内も台頭。シーズン後半からは少しずつブルペン全体が安定していき、チームは徐々に盤石の体制を取り戻していった。
しかし、9月に入ってから最初の10試合は5勝5敗と勝率5割にとどまり、ブルペンが試合をつなぎとめられないケースも散見される。その間に昨季の王者・ソフトバンクが猛追を見せ、優勝争いの先行きは全く見えない状況となりつつあった。
正念場を迎えたチームを救ったのは、やはり今季のチームの代名詞となった強力打線だ。15日から行われたソフトバンクとの3連戦、ここぞという場面で自慢の打線が爆発。11得点、8得点、8得点と3試合すべてで大量得点を奪い、シーズンの行方を占う3連戦でスイープを決めた。今季の戦いぶりを象徴するような強さを見せつけ、一気にシーズンの趨勢を決定づけたのだ。
開幕から首位を快走しながら、その戦いぶりは決して盤石ではなかった。しかし、圧倒的な得点力を武器にチームを助けた打線、的確な補強で生じかけた穴を埋めたフロント、これらのアシストを受けてブルペンを安定させ、先発陣からも3人の10勝投手を輩出した投手陣と、終わってみれば各セクションがそれぞれ役割を果たした西武。一度も首位の座を譲ることなく優勝を飾ったことは、ある意味では「当然の帰結」だったのかもしれない。