育成チームのレイア、埼玉アストライアに善戦「女子野球界の未来は明るい」

指揮官も納得「レイアらしい野球ができた」

 そして、好機が訪れる。6回2死走者なし、打席には9番・石黒貴美子。依然アストライア磯崎の前に1人の走者も出せずにいたレイア打線だったが、ストレートのフォアボールを選び、この試合初めての走者が出塁する。続くは1番・白石美優。追い込まれてから捉えた打球は右中間を破るツーベースヒット。この試合初めてのヒットとなった。

 試合終盤に訪れた1打逆転の大チャンス。ここで迎えるは、攻守でチームを盛り立ててきた2番・戎嶋美有(えびすじま みゅう)。1ボール1ストライクからの3球目、高めの直球を捉えた。鋭い打球がセンター方向へ飛んだが、無情にもピッチャー磯崎の正面へこぼれる。ボールを拾い丁寧にファーストへ送球。この回無失点に終わった。

 最終回の攻撃、先頭の3番・中嶋南美が目の醒めるようなライト前ヒットを放ち出塁。しかし後続が倒れ、2死三塁となった。打席には先発投手としてチームに流れを呼び込んだ6番・水流。最後の望みをかけ、捉えた打球はアストライアのセカンド川端友紀の正面へ飛び、ゲームセット。あと一歩だった。この瞬間、埼玉アストライアの1-0での勝利、ジャパンカップ出場が決定した。

 試合後、レイアの松村豊司監督は「半年間の練習の成果が出たいい試合だった。ミスは出たがみんなでカバーし合う。レイアらしい野球ができた。また来年に向けて、個々のレベルアップができる指導をしていく」と語り、先発の水流は「下克上を目指して試合に挑んだ。敗れてしまったが私自身のリズムで投げられた。球速アップを目指してこの冬で一回り成長したい」と駆けつけたファンへ自身の成長を誓った。

 先発の水流は5回2/3を1安打1失点と好投した。6回2死から登板した2番手今井巴菜も1回1/3を投げ、1安打無失点で抑えた。打撃もトップチームの投手を相手にしても振り負けない力強いスイングだった。先制を許した犠牲フライのシーンも無駄のない中継で、間一髪のプレイを見せた。入団して半年間、慣れない環境や厳しい練習を乗り越え、逞しくなった姿を多くのファンの前で魅せた。

 試合後、太田幸司スーパーバイザーは「今日の主役はレイアの選手たち。彼女たちの頑張りを見て、女子野球界の未来は明るいと安心した。今日の試合を自信に変えてトップチームへ上がった時、リーグを代表する選手たちに成長してほしい」とレイア選手の健闘を称えた。

 下積みを経た選手たちの成長を楽しめることも女子プロ野球の大きな魅力のひとつ。今後の彼女たちの成長に期待したい。

(Full-Count編集部)

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