春日部共栄、投手戦を制し関東大会出場決定「共栄も忘れてほしくなかった」
ここ数年は花咲徳栄と浦和学院の2強、エース村田「それだけに悔しかった」
延長12回裏、春日部共栄は先頭の村田が左前打で出塁。続く石崎聖太郎が2球目で送りバントをしくじると強行策に切り替えた。これが吉と出て強烈な中前打で一、二塁。得点できなくてもタイブレークの予行演習の形となった。平岡大典が確実に送って1死二、三塁にすると、ここまで2三振など4タコの7番・丸田輝が6球目を中前にはじき返し、劇的なサヨナラ勝ちを遂げた。
本多監督から打席を楽しんで来いと送り出された殊勲の丸田は、「真っすぐだけに絞っていた。外角の高めでした」とニンマリ。
故障がちで、連投の経験もなかった村田はガラスのエースとも呼ばれた。今年の3月から晩夏までは腰、今大会前は肩を故障。精神面も強いとは言えなかったが、指揮官は「きょうは村田さまさまですよ。タイブレークに入っても代えるつもりはなかった。村田と心中する覚悟でいた」と言って、全幅の信頼を寄せられるだけの大黒柱に成長したことを喜んだ。メンタルも試合を重なるごとに強靭になったそうだ。
埼玉県の高校野球勢力図はここ数年、花咲徳栄と浦和学院の2強による寡占状態が続く。「それだけに悔しかった。共栄も忘れてほしくなかった」と村田は闘争心をたぎらせた。関東大会でも上位に食い込んで選抜切符を獲得し、ガラスのエースなんてありがたくない呼称を完全返上するつもりでいる。
(河野正 / Tadashi Kawano)