ディオーネが「全員野球」で初戦完勝、1勝1敗に 8日に「年間女王」が決定

堀田はエース里の助言で好投「気持ちが楽になり、平常心でマウンドに上がれた」

 試合前、京都フローラの川口知哉監督(元オリックス)と愛知ディオーネの碇美穂子監督は、言い回しは異なるものの、「いつも通り。シーズン通り」と同じ意味の言葉を発していた。それもそのはず。昨年の同時期、2人は同じディオーネの指導者(監督:碇、コーチ:川口)として女王決定戦のベンチに居たのだ。

 昨年、ディオーネは序盤からぶっち切りの首位を貫いてヴィクトリアシリーズを制覇し、ディフェンディングチャンピオンとして女王決定戦に臨んだが、シリーズ2位の埼玉アストライアに敗れ、年間女王を逃したのである。「勢い、流れ、運」など様々な要因が重なり、普段取りのパフォーマンスを発揮せず敗戦した。

 予想できない。何が起こるのか分からない。これがポストシーズンである。実際に肌で感じ、共に悔しい思いをした2人は、この戦いの難しさを誰よりも理解している。あの敗戦から1年が経ち、今年2人は別々のチームの監督になった。そして新しいチームを率いてまたこの場所に帰ってきた。

 試合後、勝利したディオーネ先発の堀田は「試合前にかなり緊張していたが、里さんの言葉で気持ちが楽になり、平常心でマウンドに上がれた」と語った。今年8月の女子野球W杯で3大会連続MVPに輝いたチームの絶対的エース里綾実。しかし、シーズンの後半に怪我で悩まされ、この日はマウンドに上がれなかった。それでも、ベンチからチームメートにアドバイスをする。碇がシーズンを通じて掲げてきたテーマ「全員野球」の真骨頂だった。

 守備ではチーム全員でピッチャーを鼓舞し、相手打線を封じ込んだ。打撃では各々が役割を果たし、多彩な戦術で大量得点を上げた。試合に出ない選手も一丸となって戦った。指揮官の「想い」は各選手に浸透し、チームの中で確立されていた。

 もっとも、これで勝負は五分になっただけ。この試合で見せたディオーネの勢いも次戦に受け継がれるかは分からない。フローラも必ず意地を見せてくるはず。2018シーズン最終章は8日、今年で一番熱い舞台を整えて完結する。

(Full-Count編集部)

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