東農大三、埼玉初制覇ならずも…関東大会へ照準「甲子園は小さい頃からの夢」
決勝で春日部共栄に敗戦、高広監督は関東大会へ「忘れ物を取りに行きたい」
秋季埼玉県高校野球大会は8日、県営大宮球場で決勝が行われた。20年ぶり4度目の決勝に進み、初優勝に挑戦した東農大三は春日部共栄に1-4で敗戦。春と夏の大会も含めた悲願の初タイトル奪取は成就しなかった。
140キロ台の速球を誇るエース右腕の飯島一徹(2年)の先発が予想されたが、高広聖也監督(30)は準決勝に続いて新チームから投手に転向した右腕・井口真之介を登板させた。「奇策とかではなく、井口のほうがいいコンディションだったのが理由」と説明した。
この言葉通り、8回に先頭打者に二塁打を浴びたところで飯島が継投したが、それまで1度も連打を許さず7安打3失点と好投した。直球にカーブとスライダーを織り交ぜ、2併殺とバックの援護もあって強打の春日部共栄と競り合いを演じる立役者となる。井口は「秋の大会で一番のピッチングができました」と敗れはしたが、充実感に満ちたやり切った表情で自賛した。
東農大三は初回、主将で先頭の加納陸(2年)が左前打で出塁し、送りバントで二進した後、松本春樹(1年)の右前打と右翼手の失策で願ってもない先制点を奪った。
しかし7回の拙攻が痛かった。先頭の井口が左翼線へ二塁打し、続く飯島も右前にはじき返して無死一、三塁と同点機を築いた。だが、飯島が二盗にしくじると、6番・小島大毅(2年)のスクイズも失敗し、絶好の得点機を逃してしまった。
高広監督は「相手が1枚も2枚も上でした。力負けです」と潔く敗戦を受け入れると、「過去3度の関東大会は結果が出なかった。今回こそは忘れ物を取りに行きたい」とベスト4以内に照準を合わせる。井口も「甲子園は小さい頃からの夢。つかめるように1戦1戦、打たせて取る投球をやりたい」と謙虚に話した。
(河野正 / Tadashi Kawano)