優勝チームには確かに“理不尽”…… それでもCSが面白い4つの理由

「下剋上」に向けての「心理戦」も魅力の1つ

(2)レギュラーシーズンの熱気をそのまま持ち込むこと

 日本シリーズは両軍が万全の態勢を整えて戦うため、開催まで3~4日の予備日がある。その間に両軍は休養を取るが、試合から遠のくことでエンジンがいったん落ちた状態になることも多い。しかし、CSはペナントレース終了の翌々日から始まる。極端な場合、2日前まで戦っていた勢いのままに、CSに突入するのだ。ペナントレース終盤に好調だった選手がそのままの勢いでシリーズに臨むことも多い。熱戦が多いのはこれも原因だろう。

(3)超短期決戦であること

 日本シリーズは7回戦制だが、CSのファーストステージは3回戦制。1敗すればもう“カド番”になる。勝ち点で争う大学のリーグと同じ形式だ。この超短期決戦が、初戦の総力戦につながる。特に3位のチームは引き分けでも負けと同じ扱いになるから、何としても頭を取ろうと思う。まるで甲子園の高校野球のような「一戦必勝」の緊張感がファーストステージを立ち上がりから盛り上げるのだ。

(4)アドバンテージがあること

 CSでは対戦チームはイーブンの条件ではない。ファーストステージでは2位チームが3位チームに0.5勝、ファイナルステージではリーグ優勝チームがファーストステージを勝ち上がってきたチームに1勝のアドバンテージがある。このアドバンテージが、微妙なスパイスとなって両チームの心理状態に大きく影響する。

 下位チームが勝てば、アドバンテージが吹っ飛ぶ。「下剋上」に向けて野心が広がっていく。反対に上位チームが勝てば、楽勝ムードが広がり、思わぬ落とし穴が待っていたりする。アドバンテージによって、こうした複雑な「メンタルの揺れ」が発生するのだ。CSでは、そうした心理戦もたまらない魅力となる。

 13日から始まる最大18試合の日本シリーズへ向けた「秋の短期決戦」。じっくりと楽しみたいものだ。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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