打者は吉田正、投手は僅差で西武菊池 セイバー目線で選ぶ9、10月のパ月間MVP
西武のエース菊池は月間4勝0敗、FIP2.53
〇9月10月月間MVP パ・リーグ投手部門
菊池雄星(西武)
登板4 4勝0敗 防御率3.10
FIP2.53 RSAA 4.77
WHIP1.27 QS率 80% 奪三振率10.36
候補選手は7名ですが、有力候補の数値を見てみましょう。
多和田真三郎
登板5 35回 4勝0敗 防御率1.54
被打率.275 奪三振率4.37 完封1
菊池雄星
登板4 29回 4勝0敗 防御率3.10
被打率.214 奪三振率8.38
東明大貴
登板5 28回2/3 1勝3敗 防御率2.51
被打率.217 奪三振率5.34
森唯斗
登板14 13回1/3 1勝0敗12S 防御率1.35
被打率.200 奪三振率6.75
西武の多和田、菊池の両看板が月間4勝0と優勝へのラストスパートに大きく貢献しています。ただ登板数、防御率の差で多和田が一歩リードかと思われます。またソフトバンクの快進撃に貢献した森の12セーブも大きく評価されることでしょう。公式の月間MVPは多和田か森の一騎打ちになると予想します。
では、セイバーメトリクスによる評価ではどうなるでしょうか。
多和田真三郎
FIP 3.12 被本塁打1 WHIP 1.26
QS率80% K/BB 2.83 RSAA 3.41
菊池雄星
FIP 2.53 被本塁打1 WHIP 1.00
QS率50% K/BB 3.86 RSAA 4.71
東明大貴
FIP 2.81 被本塁打1 WHIP 0.91
QS率40% K/BB 5.67 RSAA 3.79
森唯斗
FIP 3.80 被本塁打2 WHIP 0.75
K/BB 10.0 RSAA 0.30
則本昴大
FIP 2.70 被本塁打2 WHIP 1.27
QS率80% K/BB 3.45 RSAA 4.77
RSAA(Runs Saved Above Average)とは、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す指標(リーグ平均FIP-選手個人のFIP)×投球回数/9です。
9月24日時点での成績で則本は候補者リストに掲載されていませんでしたが、RSAAが菊池と僅差ということで掲載いたしました。
ただ、FIP、WHIP、K/BBが則本を上回ったことに加え、9月28日にソフトバンク戦17戦目での初勝利を挙げ、チーム12連勝、マジック1をチームにもたらした貢献も高く評価し、今回のMVPに推挙します。
なお、これまでの菊池雄星のソフトバンク戦における防御率と援護率は以下の通り。
2011年 2試合 5回2/3 自責点4 援護点5
2012年 3試合 17回2/3 自責点5 援護点3
2013年 1試合 6回 自責点2 援護点2
2014年 5試合 30回 自責点15 援護点5
2015年 1試合 5回1/3 自責点6 援護点2
2016年 1試合 6回1/3 自責点7 援護点0
2017年 4試合 20回1/3 自責点18 援護点4
2018年 2試合 15回 自責点4 援護点7
通算19試合 106回1/3 防御率5.16 援護率2.37
なぜか菊池がソフトバンク戦に登板するときは味方の援護がもらえず、勝ち星に恵まれなかったという側面もあったということをお伝えしておきます。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。