稲葉監督、延長10回タイブレークの采配を悔やむ 「もう1度振り返って反省」
2020年・東京五輪を想定し首脳陣4人体制で臨んだ
稲葉篤紀監督は今回、直球で空振りやファウルが取れ、変化球で打ち取れるタイプの投手を揃えた。オープニングラウンド、スーパーラウンド計8試合のチーム防御率は参加12カ国でトップの1.29。守備も12カ国で唯一の無失策。チーム打率は同5位の2割7分9厘だったが、同2位となる13盗塁を決めるなど、足を絡めた攻撃で効果的に得点を重ねた。
主に1番で起用された島田海吏外野手(阪神)が出場全チーム中5位となる出塁率5割1分4厘で大会最多となる12得点。主に5番を任された安田尚憲内野手(ロッテ)が打率同4位タイとなる4割5分8厘の高打率で7打点。主に7番だった堀内謙伍捕手(楽天)も同3位タイの9打点。主将の4番内田靖人内野手(楽天)も同3位タイの3本塁打を放ち、同9位タイの8打点と、出るべき選手が出塁し、返すべき選手が走者を返したことが、決勝まで8連勝という結果にもつながった。
今大会は東京五輪本番を想定し、監督を含め首脳陣4人体制で臨んだ。時に打撃投手も務めた稲葉監督は「想定外のことも経験できたし、(コーチ陣)皆が1人何役もこなした。五輪本番に向けてもいい練習になった」と、収穫も口にした。
大会前の練習期間は国内で5日、コロンビアで2日とわずか1週間しかない急造チームだったが、日を重ねるごとにチームの結束力も増していった。稲葉監督は選手の調子を日々見極め、積極的に打順を変更。それに選手が結果で応え、日替わりのヒーローが連日誕生した。決勝こそ打線が相手投手を打ちあぐねたが、グラウンドが荒れている中で、守備も12か国唯一の無失策。日本の特徴を出せた大会だった。
稲葉監督は帰国後、11月のフル代表でのチャイニーズ・タイペイ戦、日米野球、そして19年のプレミア12を経て、20年の東京五輪と負けられない戦いが続く。コロンビアでの10日間の戦いを終えた指揮官は「五輪を見据えて首脳陣4人、選手24人でやれたのは大きかった。私自身もやるべきことが非常によく分かったし、タイブレークも最後に経験できた。選手をまとめる時にどういう声のかけかたをしたらいいか、コミュニケーションをしっかりとっていこうと思ってやってきたが、選手は本当に1つになってやってくれた。いいチームに仕上がっていったのは分かった。このいろんな経験を生かしていきたい」と、2年後の東京五輪を見据えた。
(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)