第2弾はビリヤード 球界初の試み、日ハム若手アスリート支援の誕生“秘話”
多くの競技同士がつながるスポーツコミュニティー作りで地域貢献
――ジャンプ、ビリヤードに続き、今後も新たなジャンルに目を向けていく?
石川さん「いろいろなスポーツのつながりができることが、スポーツコミュニティだと思っています。今、球団のアカデミーグループにはベースボールとダンスがありますが、スキーのジャンプだったり、ビリヤードだったり、ほかのスポーツだったり、クラウドファンディングで支援したアスリートと球団が将来的にまた何か一緒にできればいいなという思いもあります」
笹村さん「こうやって渡辺さんと平口さんが知り合い、仲良くなって、競技を越えたつながりができる。これもスポーツコミュニティですし、そういう輪がどんどん広がっていくといいなと思います」
――野球以外のことをやることに対して否定的な声はなかった?
笹村さん「野球の競技人口が減っているという問題がある中で、そこを見過ごしていけないというのは僕たちも会社のみんなも思っていることではあります」
石川さん「野球に特化するならベースボールコミュニティ。『ベースボール』ではなくて『スポーツ』と理念で掲げていることが大きいのではないかと思います。もちろん、野球をおろそかにするわけにはいかないです」
――2人ともアメリカの大学院でスポーツ経営学を学び、最初は通訳として球団に入った。これまでの経験が生きている?
石川さん「アメリカではスポーツを見る文化が定着していると感じました。ここだという場面になると自発的にスタンディングオベーションが起こってみんなが一体になって応援するというのは凄い。そういう文化が日本、北海道でもできればいいなと思っていました。それを実現させる一歩がファイターズでこういった活動をしていくことなのではないかと思っています」
笹村さん「アメリカにいた時にはスポーツが生活の近くにありました。メジャーなNFLやMLBだけじゃなくて、いろんなスポーツが身近にあるのを肌で感じてきた部分があります。海外に出て暮らすと、自分の国とか自分の故郷に対する思いが強くなるので、帰ってきて北海道でスポーツに貢献できることにやりがいを感じています」
部署の垣根を越えて誕生した次世代スポーツ人材育成型クラウドファンディング。先日発表された新球場建設と同様、「スポーツコミュニティ」という理念の下で球団内には斬新なアイデアが次々と生まれ、新しい挑戦を行っている。
☆「FIGHTERS CROWDFUNDING~Be Ambitious~」 今年7月に第1号アスリートとして女子スキージャンプの渡邉陽さん(21)が選ばれ、目標額の112万円を超える121万8000円が集まった。現在、第2号アスリートとなる国内現役最年少ビリヤードプロの平口結貴さん(21)の支援金をクラウドファンディングサイト「FAAVO」で募集している。140万円を目標に今月5日からスタートし、支援金は13日現在で122万7000円を超えている。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)