巨人菅野が両リーグ最多の投球数を記録 「シーズン3000球」は危険水域?
規格外のスタミナを持つ楽天則本と阪神メッセンジャー
しかし、NPBの先発投手の球数はMLBに比べれば決定的に少ない。日本に比べ試合数が多いMLBではシーズン3000球は、エース級の先発投手のノルマといってもよい。2018年はア・リーグ13人、ナ・リーグ14人いる。NPBでは両リーグ合わせて2人。しかも、2年連続で3000球以上投げる投手は限られている。過去5年のNPBで3000球以上投げた投手を見てみよう。
〇2014年
メッセンジャー(神) 3544球/208回1/3
則本昂大(楽) 3221球/202回2/3
金子千尋(オ) 3000球/191回
〇2015年
藤浪晋太郎(神) 3374球/199回
メッセンジャー(神) 3255球/193回2/3
大野雄大(中) 3250球/207回1/3
前田健太(広) 3189球/206回1/3
ジョンソン(広) 3174球/194回1/3
則本昂大(楽) 3196球/194回2/3
涌井秀章(ロ) 3127球/188回2/3
〇2016年
メッセンジャー(神) 3218球/185回1/3
則本昂大(楽) 3384球/195回
武田翔太(ソ) 3103球/183回
〇2017年
岸孝之(楽) 3004球/176回1/3
〇2018年
菅野智之(巨) 3129球/202回
則本昂大(楽) 3085球/180回1/3
過去5年で複数回3000球を投げたのは、楽天・則本(2014、2015、2016、2018)、阪神・メッセンジャー(2014、2015、2016)の2人だけ。この2人は、NPBでは規格外のスタミナの持ち主だと言えそうだ。他の投手は、翌年、必ず球数を減らし、多くは成績も下落させている。NPBの先発投手にとって「シーズン3000球」は超えられない「壁」なのだ。
懸念されるのは、今年、歴史的な快投を見せた菅野智之だ。菅野は2013年のデビュー以来、毎年規定投球回数に達していたが、昨年までは2016年の2863球が最多だった。しかし今年は、CSファーストステージでのノーヒットノーランの113球を加えれば、3242球も投げている。これは「危険水域」を超えたと言っていいだろう。
日米野球を欠場した菅野だが、来季もエースとしてフル回転できるだろうか。
(広尾晃 / Koh Hiroo)