オリのドラ4左腕は14人兄弟の三男坊 高校時代に指名漏れ乗り越えた家族への想い

富山を成長させた元プロ細山田の助言

「ドラフトを意識してしまいました。『プロに行くために活躍しないと』という思いで1、2年目もやっていましたが、日本選手権で名前が売れて騒がれ始めて、みんなに見られていると思ったら、意識の仕方が変わりました。毎回ベストのピッチングをしないといけないと思ってしまった。ちょっと上手く投げられないと『今日はだめだ』と思ってしまい、調子が悪いなりのピッチングを考えられませんでした」

 スカウトの目を意識しすぎて調子を落としてしまうほど、プロに行きたいという思いを強く持っていたが、高卒でプロに行くよりも、社会人を経験してよかったと3年間を振り返る。特にチームの先輩で、DeNA、ソフトバンクでプレー経験がある細山田武史捕手から教えられることが、とても勉強になったという。

「外にちゃんと投げられて、変化球2つは絶対にストライクを取れる球を持っていないとだめ。そうじゃないと1軍で活躍できないと言われました。変化球でストライクが取れないと、真っ直ぐ一本になる。そうなると、狙われたら打たれる。プロを経験しているからこそできるアドバイスを貰いました。こんなアドバイスができる人はなかなかいない。トヨタは、ベテランの選手が色々なことを教えてくれる。みんなができない経験を僕はしています」

 憧れの存在でもある藤川球児投手(阪神)のように、真っ直ぐで空振りを取りたいと話す。それでも、プロで通用する投手になるため、社会人の3年間でストライクを取れる変化球、決め球にできる変化球を磨いてきた。しかし、一番学んだことは「社会の礼儀」だという。

「社会人で学んだことはいっぱいありますが、一番勉強になったのは、社会の礼儀、人間性です。僕らが練習している間も、会社の人たちは仕事をしている。そのおかげで僕らは野球ができている。仕事を休んでまで応援しに来てくれている人もたくさんいる。気持ちの面で勉強になりました」

 トヨタ自動車という安定した企業から、プロの世界に身を置くことにも不安は全くない。目標はあくまでプロで活躍すること。高校生の時は「甲子園に行かなくても、プロに行けるだろう」と考えており、甲子園に行きたいと思わなかったほどだ。

14兄弟への想い「チケット、全員分取れるかな」

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