野球離れを食い止めるには… 日本野球科学研究会で発表された3つの実践例
早稲田大学野球部OB会は野球を始めるきっかけを提供
東京農業大学応用生物科学部の勝亦陽一准教授は、早稲田大学野球部OB。野球人口減少の背景には、子供たちの日常の遊びだった「野球あそび」の消失があったとし、早稲田大学野球部OB会として「プレイボールプロジェクト~野球を始めよう、楽しもう、学ぼう」と題するイベントを実施してきた。
「始めよう」では、野球未経験者、初心者に簡単に野球の楽しさを実感できる「野球遊び」を紹介。「楽しもう」では、小学校の野球選手に、大人の言いなりになる野球ではなく、野球の個人競技的側面や打撃の面白さを強調した「かんたんベースボール」を実施。また「学ぼう」では、早稲田出身のプロ選手の実演などを行っている。
また、これと並行して、早稲田大の安部磯雄記念野球場を遊び場として開放するイベントを行った。さらに、この12月に早稲田大学野球部OB会は「野球をやっていない高学年の小学生」を対象とした野球あそびイベントを開催する。これまであまり注目されなかった「中学から野球をやる」という選択肢を提示し、競技人口の拡大へ向けて発信をしていく。
この後、川村卓准教授の進行で質疑応答も行われた。
すでに「野球離れ」への危機感は、野球界では広く共有されている。そんな中で、実際に野球の底辺拡大に取り組む3人の指導者の報告は、具体的で示唆に富んでいた。
現在、野球界は「現状認識」の段階を終え、「実践」「実行」の段階に入ったとの思いを強くさせられた。日本野球科学研究会、第6回大会は2日も行われる。
(広尾晃 / Koh Hiroo)