コーチャーBOXからバーカウンターへ マスターとして活躍する元ハム戦士の今
野球人口の減少には「“他のスポーツの良さ”が数十年前より認知された」
UTANOBをオープンさせた経緯は「元プロ野球選手という肩書きがあるからこそ働くのです。“野球しかできない”のではなく、自分の好きなこと得意なことを活かしつつ仕事をしたい。そこに野球を絡められたら、それ以上のことはない」。
嶋田氏なりのプロ野球選手・コーチ引退後のセカンドキャリアについても言及している。本人が「得意」と言ったように、嶋田氏の美しい歌声は一級品だ。この日のイベント最後にも、「輝け! 未来へ~Hit&Run~」が、店内カラオケに流れた。最後の一節を嶋田氏が歌うと、その美声に野球ファンが埋め尽くす会場はどよめいた。
野球ファンのみならず、どんな人でも、嶋田氏のその気さくな人間性と、もしかすると聞けるかもしれないその歌声を求めて、立ち寄ってみるのもいいかもしれない。
嶋田氏は、元プロ野球選手のため、公益社団法人日本学生野球協会「学生野球資格回復に関する規則による適性認定者」も認定済だ。現在でも、自身の経験や技術を伝えるべく、学生野球(高校・大学)のコーチとして出張クリニックなどで野球に関わることを望んでいる。
現在起きている、若年層の野球競技人口減少に対して嶋田氏は「私たちの世代がやっていた頃はダントツでスポーツ界の先頭にいたのが野球でした。それに現在まであぐらをかいていたとは言いません。野球界だって頑張ってます。ただ、“他のスポーツの良さ”が数十年前より認知された事は確かです」と力説する。
「特にJリーグの発足と盛り上がりは他のスポーツ界に刺激を与え、更にネット等で色々な情報を得ることができるようになり、日本人が世界で戦う姿が“原石たちに選択肢を与えた”ことが大きいと思います。他のスポーツも魅力があると認知されるようになったのだと思います」
野球が全てではなく、スポーツ全体をみた意見は、全く違うジャンル、UTANOBという新しいジャンルで活躍しようとする嶋田氏らしい答えだ。カラオケスナックへと活躍の場を移したが、危機的状況にある野球界へ対する想いは強く持っている。ふらっと立ち寄るお客様を歓迎し、自らグラウンドにも足を運び技術を提供する。嶋田氏の今後の活躍に注目したい。
(大森雄貴 / Yuki Omori)