グラウンド共用、休日は清掃活動など行う富岡西…21世紀枠候補校、推薦理由は?

阿南市は全国で唯一、野球を通じた地域活性化を目指す「野球のまち推進課」

 グラウンドは他部と共用で、放課後の外野ではサッカー、ホッケー、ソフトボールの各部が練習するなど、環境は十分ではない。普段は内野しか使えないため、バントゲームやゴロ打ちなどの実戦的練習を中心に行い、バッティングは早朝練習で行う。平日の練習は16時45分からで、JR・バス通学生に配慮して全体練習は19時に終わる。週末に校内合宿を行って練習量を補うなどの工夫をしている。

 野球部員は生徒会活動にも熱心で、生徒会長をはじめ、生徒会の13専門委員会のうち、6つで野球部員が委員長を務めている。また2年生の7クラス中4クラスの委員長が野球部員。休日は校門付近の国道沿いのゴミ拾いなどグラウンド周辺の清掃を30分程度行ってから練習に入る。冬場は学校近くを流れる桑野川の堤防のゴミ拾いも行う。

 高校のある阿南市は野球熱が高く、市には「野球のまち推進課」という全国で唯一、野球を通じた地域活性化を目指す担当課が設置されていて、還暦野球や少年野球の大会が盛んに行われている。しかし阿南市より南は過疎化が激しく、1996年夏に「ミラクル新野」と言われて旋風を巻き起こした新野高校も来春には統合されて校名が消える。県南部の野球を支える富岡西は、阿南市民のみならず、徳島県南部住民にとって大切な存在で、甲子園出場が心待ちにされている。

 四国地区各県の候補校はいずれも地域の伝統校で困難な練習環境の中で努力してきた。その中で、何度もあと一歩で甲子園というところまでいき、しかも2001年と08年に四国地区推薦校になりながら甲子園が叶っていないこと、地域から預かった子供達を育てて指導者としてまた地域に帰している点、野球熱が高い市民が地域を挙げて応援していることを高く評価し、満場一致で富岡西が四国地区の推薦校に決まった。

(松倉雄太 / Yuta Matsukura)

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