熊本西は野球普及・地域活性化班を新設し工夫と改革…21世紀枠候補校、推薦理由は?

人間力の育成を重視「社会人としてのレギュラー」を目指す

 野球のスキル向上とチームの勝利が目標であるが、野球を通した人間力の育成を重視していり、「高校野球のレギュラー」を目指す前に、「社会人としてのレギュラー」を目指すことを指導している。新チームから新設した野球普及・地域活性化班が中心となって企画し、近隣小学校との野球交流や、高校野球200年構想の一環として、こども園を訪問してティーボール体験会を行ったりしている。このオフシーズンは野球に関する課題研究とプレゼンテーションに取り組み、さらに工夫と改革を行っている。

 学校は平成28年熊本地震によって大きな被害を受けた。現役部員は当時中学生だったが、自宅の大規模半壊などで家を失った者もいる。また避難所生活や車中泊を経験した生徒も多い。自らが被災者である中でも支援物資の配布や生活用水の運搬、学校や家屋の清掃など様々なボランティア活動に取り組むことで、助け合いや世代間交流という貴重な経験をしている。

 また、かつて甲子園で対戦した磐城高校とは現在も交流が続いており、東日本大震災の際には元校長が野球のボールを寄付し、その年冬の高校ラグビーでは花園で両校が対戦するという奇跡が起きた。熊本地震の際にはその年のお返しとして、野球とラグビーのボールが熊本西高校に送り届けられた。

 九州地区の代表候補校選考会議は11月21日に開催された。九州地区各県理事長8名、九州地区高野連会長1名の計9名が出席。9名から互いの推薦校に対して様々な意見が出され、難しい判断だったが、まず津久見、熊本西、普天間の3校に絞った。その後当該県である、大分、熊本、沖縄の理事長が会議室を退室し、当該県以外の理事長と九州地区高野連会長の6名で、推薦項目別に客観的に数値化し比較。協議の結果、最終的に熊本西を九州地区代表候補校として適当であるという結論に至った。

(松倉雄太 / Yuta Matsukura)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY