ドラフト84番目の男が2年目で見せた成長 大学同期投手コンビに受ける刺激
目標の毎試合出場へのカギは「打ち続ける」
もちろん、目指すは毎日試合に出ること。プロ入り後は、主に一塁と外野を守っているが、広陵高3年時から明治大2年時頃までキャッチャーを務めた経験もある。複数のポジションを守れることは、出場機会を増やすための武器となる。だが、あくまでも自身の強みは思い切りのいいバッティング。「打ち続ける。打たなきゃ自分の場合はアピールにならない」と打撃から道を切り拓いていく心積もりだ。
野球界では特に、「松坂世代」や「大谷世代」など同じ学年で一括りにされることが多く、選手もまた同学年の仲間を意識し、刺激を受けている。佐野にも切磋琢磨を意識する同級生がいる。それが、明治大学の同期、星知弥投手(ヤクルト)と柳裕也投手(中日)だ。投手と野手の違いはあれど、今でも連絡を取っている2人は「もちろん気になります」と明かす。
2016年10月20日。その年のドラフト当日、佐野は星、柳らと大学で指名がかかることを待っていた。だが、待てど暮らせど名前は呼ばれない。「本当にだめかと思いましたね。選択終了の球団も半分くらい出ていたのかな。柳と星が上位で決まって、胴上げとかにみんなが行ってしまった中、自分だけ1人ポツンと残っていたんです。そのうち、みんなが胴上げを終えて戻ってきて。あ、もうだめかもな、みたいな感じで」。1位指名から約1時間後、DeNAから9巡目で指名を受けると「ホッとした」と正直な気持ちを明かす。支配下登録選手としては87人中の84番目、セ・リーグでは最後の指名でプロ入りを掴んだ。
ドラフト1位であろうが、9位であろうが、プロに入ればみんな同じスタートラインに立つ。先発ローテに定着しようと奮闘する星、柳に負けじと、佐野も1軍出場試合数を1年目の18試合出場から、2年目の今季は73試合に大きく伸ばした。代打出場が多い中でも5本塁打を放ってアピール。「2人ともまだ対戦していないんで、早く対戦したいなって思います」と同級生の存在を発奮材料にしている。
来季はもう3年目。若くて生きのいい選手が多い中、さらに存在感を光らせるためには、今オフの過ごし方が大きなポイントとなるだろう。「佐野が出てきたら、何か起こしてくれるって思ってもらえるように、起爆剤じゃないですけど、チームに勢いがつくような選手になりたいです」と語る24歳。キャンプインを迎える来年の2月1日には、一回り成長を遂げた佐野が見られることを楽しみにしたい。
(白井京子 / Kyoko Shirai)