恩師が明かす広島ドラ1小園海斗の才能 「正直“持っているな”と思いました」
今夏の東兵庫大会の滝川二戦、全球団スカウトの前で決勝弾
広島から今年ドラフト1位指名を受けた小園海斗内野手(報徳学園)のOB会主催の激励会が23日、兵庫県神戸市で開かれ、多くの関係者が励ましの言葉を掛けた。その中で部長時代から小園を見守ってきた大角健二監督も熱いメッセージを寄せた。
大角監督が小園を初めて見たのは中学2年の時。宮崎翔コーチに「プロに行ける選手です」という報告を受け練習を見に行くと、身のこなしがすでに中学生離れしている小園がいた。
同じ枚方ボーイズのチームメイトだった神頭勇介とともに報徳学園に入学すると、入学式後直後の4月上旬に行われた石川遠征で、小園はすぐさまスタメン出場。相手チームのマウンドには140キロを超える速球投手が立っていたが、相対した小園は2ストライクに追い込まれながらも、インコース高めのストレートを振り切ってホームランにした。
「ついこの間まで中学生だった子が、あの難しいボールをホームランにしたのは驚きでした。この時、この子は間違いないと思いました」
以降、「1番・遊撃」が小園の不動のポジションに。途中、打撃不振になったり、守備や走塁でケアレスミスを続けたり、試行錯誤した時期もあったが、最終的にはドラフト会議で4球団が競合するほどの逸材に成長した。その大きな理由を指揮官は「ここ一番での強さ」と明かす。
「今夏の東兵庫大会の4回戦で滝川二と対戦した試合。春にウチが県大会初戦で負けている相手で、ひょっとしたらウチが負けるかもしれないと、多くのプロのスカウトの方が来られていました。おそらく全球団の方が来られていたと思います。そんな注目の大一番の試合で、小園は決勝打となるホームランをバックスクリーンに打ちました。守備でもいいところを見せました。普通はそれだけ注目されると力んだり空回りすることが多いのに、力を発揮できるのはすごいこと。夏の甲子園の初戦でもスカウトが一番見に来ている初戦(聖光学院戦)で、3本の二塁打を打った。正直“持っているな”と思いました」
ただ、プロの世界に入れば、いつ壁にぶち当たるか分からない。プロは高校とは違い、仲間が励ましたり叱咤することはなく、個人の実力がものを言う。ダメになればそのまま落ちていき、結果を残せば周りは認めてくれる。
厳しいプロの世界でかわいい教え子が生き抜くことを願う大角監督は、「いい時に応援するのは誰でもできること。小園が苦しい時こそ、ぜひ応援してあげてください」と詰め掛けた関係者に熱く“お願い”していた。
(沢井史 / Fumi Sawai)