コロンビアで武者修行する日本人左腕 先発ローテ入りが目標、夢はNPB選手

日本とは何もかも違う環境も「生活は楽しい」

 だが、到着初日からサプライズが待っていた。日本から飛行機を2度乗り継ぎ、30時間以上かけて到着したコロンビアのバランキージャから本拠地のシンセレホまで4時間の道のりを乗合タクシーで向かう途中のこと。地元民のストライキで橋が封鎖されており、通行止めで1時間以上の足止めを食らったのだ。

「前の日は(コロンビアの首都)ボゴタの空港で一晩を明かしていたし、もう足がパンパンだった。早くホテルで寝たかった」

 チームバスでの移動時にも、県境では必ず警察の検問を受ける。今のところパスポートチェックなどはないが、外出時は外国人は常に身分証であるパスポートを携帯しなければならないという日本とは違うルールも最初は驚きだった。

「チームの連絡事項も適当だし、ユニホームや練習着を洗濯に出しても、返ってこない時がある」。遠征の向かうチームバスやロッカーではラテン音楽好きの選手が携帯用の大きなスピーカーを持ち込み、大音量で音楽を鳴らし、時に大合唱が始まる。寝ている選手がいてもお構いなし。「バスの音楽だけは未だに慣れませんね」と苦笑いしながらも「最初はドキドキして不安はあったし、選手も体が大きくて見た目はいかついけど、日本語で話しかけてくれる選手もいるし、いい人ばかり。食事は日本と違って脂っこいものが多いので、たまに味噌汁が飲みたくなるけど、生活は楽しいですよ」と表情も明るい。

 コロンビアではここまで8試合に登板し、0勝0敗、防御率3.10。11月は先発だったが、12月からはロングリリーフや左のワンポイント役を担い、ブルペンで連日出番に備えている。

「こっちの打線は日本でいう助っ人にあたる選手が1番から9番まで並んでいる感じで、常に気が抜けない。1人の打者に対して、日本の2倍の精神力がいる。僕は球が速い訳でも変則でもないので、制球、緩急、駆け引き、メンタル面が大事だと思っています」

 持ち球は動く直球、2種類のスライダー、ツーシーム。ストライクゾーンは日本よりも広いと言われているが、審判のレベルが低く、判定を巡って両監督が球審に抗議する場面も日常茶飯事。樽見も例外なくその判定に泣かされることもある。それでも現地の野球に馴染もうと、携帯で動画を見て打者の特徴を把握したり、チームメートのフォームのいいところを盗もうと動画を撮影して研究するなど、努力も怠らない。

 対戦相手には、メジャー経験のある体の大きい強打者もいるが、物怖じせず、死球も恐れずに強気に内角を攻めている。「僕、愛媛でも去年、高知のマニー・ラミレスの顔に死球を当てているんです。あの時は試合後、謝りにいったら『いい球だった。質が良かった。ノープロブレム』ってほめてもらった。逆にいい思い出になりました」と当時を懐かしむ。

激しい競争 かつて日本でプレーした選手も

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