【肘と野球】成長期の練習過多は百害あって一利なし 体の防御反応“痛み”を見逃すな

骨も投球フォームも未熟な子供に大人と同じ練習負荷は危険

「子供の身長が伸びるに伴って、骨、筋肉、そして骨と筋肉をつなぐ靱帯も伸びます。伸びる骨に引っ張られる形で靱帯や筋肉が伸びるので、成長期の靱帯は常に引っ張られ、緊張した状態にあると考えられます。そこに、さらに投球など野球の練習という外的要因で強い負荷がかかると、靱帯がついている部分の骨が剥がれやすくなる。負荷に耐えられず、剥がれてしまうと裂離骨折(剥離骨折)が起こります」

 小学6年生ともなれば、身長が月に1センチ、年間では5~10センチ伸びる。人間の体には修復能力は宿っているが、常に引っ張られた状態にある靱帯や筋肉に過剰な負荷がかかれば、痛みを伴う怪我となる。

「子供が訴える“痛み”を見逃さないようにして下さい。痛みは、体に対する負荷が度を超えているサイン。“その状態から逃げろ、やめろ”という危険信号で、体の防御反応なんですね。また、痛みを感じる一歩手前の状態が疲労ですから、疲労が溜まると怪我につながります」

 大前提として忘れてはならないのは、子供の体はまだ未熟だということ。古島医師は「子供はまだ骨も投球フォームも未熟。勝つことにこだわり過ぎて、体格差がある大人と同じ練習負荷を求めると、成長期の障害はどうしても起こりやすくなってしまいます」と警鐘を鳴らす。

大人と同じ硬い骨になるのは、日本人は15歳前後

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