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【肘と野球】大人が整えたい子供の適切な練習環境 成長を妨げる過度の疲れとストレス

トミー・ジョン手術、という名前を聞いたことはあるだろうか。損傷した肘の内側側副靱帯を修復する手術で、中日の松坂大輔投手、カブスのダルビッシュ有投手、最近ではエンゼルスの大谷翔平投手が受けたことでも知られる。復帰まで通常1年以上を要すると言われるこの手術はプロ選手特有のものに思えるかもしれないが、実は高校生や大学生が受けるケースも多い。

8歳から14歳のひじの成長線【写真提供:慶友整形外科病院】
8歳から14歳のひじの成長線【写真提供:慶友整形外科病院】

疲れすぎは成長ホルモンの分泌を妨害

 もちろん、練習することが悪いわけではない。避けるべきは、過度の練習だ。「ヘトヘトに疲れるまで練習させることをよしと考える指導者は多いですが、適度な疲れを感じる程度の短時間で効率のいい練習で十分」と古島医師は話す。

「まず子供の集中力は、そこまで長く持ちません。集中力を欠く中で練習を続ければ、大きな怪我を引き起こす原因にもなります。勉強や仕事と同じで、野球の練習も短時間で効率よく進めればいい。毎日10時間勉強すれば、それだけで東大に入れるわけではない。毎日10時間練習したら、それだけでプロ野球選手になれるわけでもありません。

 ヘトヘトに疲れてしまうと成長ホルモンが出にくくなるという研究もあります。成長ホルモンは体の成長だけではなく、情緒を安定させたり、怪我を治したり、集中力を高めたり、風邪を引きにくくしたり、いろいろな作用を持つ万能なホルモンです。人間なら誰しも持つホルモンですが、未熟な体から大人の体に移行する成長期に一番出る。ですが、体が疲れ過ぎて眠りが浅くなったり、罵声や怒声を浴びて心的ストレスを感じたりすると、成長ホルモンの分泌が妨げられてしまうんですね」

 体の成長を第一に考えた場合、小学生や中学生では、無駄に長い詰め込み型の練習を強いるのではなく、疲れを溜めない適度な運動量が得られる練習環境を整えることが、指導者や保護者に求められることなのかもしれない。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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