ぐんま野球フェスタで新たな取り組み 大盛況だった高校生による小学生野球教室
前橋育英、健大高崎ら県内7校が参加「僕たちも何か役に立てると」
野球の楽しさを再発見するイベント「ぐんま野球フェスタ2019」が5日、ALSOKぐんま総合スポーツセンターで行われた。県内外を問わず年長から小学生、保護者、指導者、野球関係者らを参加対象とし、無料で行われたイベントには、大人と子供あわせて1000人を超える来場者で賑わった。
巨人や横浜で活躍し、現在は侍U-12代表監督を務める仁志敏久氏が参加し、指導者向けの野球教室や講演会を実施。一方では、イベント開催時間を通じて子供たちの肘をエコー検診し、障害予防に向けたストレッチの指導なども行われた。
数々のイベントや企画の中でも、野球を純粋に楽しみ、明るい笑い声が絶えなかったのが、高校生による小学生を対象とした野球教室だった。参加したのは、群馬県秋季大会でベスト4入りした前橋育英、桐生第一、健大高崎、渋川青翠、そして前橋工、伊勢崎清明、東農大二高の7チーム。合計300人を超える小学生が“憧れのお兄さん”たちと一緒に野球を楽しんだ。
高校生は学校の垣根を越えたグループを作って、子供たちにスローイングやバッティングの手本を披露。小学生のバッティング練習のサポートをしたり、グループ毎にミニ紅白戦などを行ったりした。子供たちからは「すごーい!」という大歓声があがったり、一方では高校生から小学生に対して「すごいな!」という驚きの声があがったり。中には、イベントの終わりに高校生のお兄さんと一緒に記念撮影をする小学生の姿もあった。そして何より、高校生にも小学生にも、参加者全員に絶えなかったのは「笑顔」だ。
群馬県高野連で理事長を務める前橋工の城田雅人氏は「これだけ大規模な野球教室に高校生が参加するのは初めてですが、こういう機会を増やしていきたいと思います」と話す。昨年11月に日本高野連から各都道府県支部に対して、高校生による年少者を対象とした野球教室の開催を推進された。主催者の1人でもある慶友整形外科病院の古島弘三医師に今回のイベントへの参加を打診された時、「これをいいきっかけにしたい」と7校に呼びかけたところ、快く参加するという返答があったという。
始まったばかりの取り組みで、指導者も高校生も子供たちとどう接するべきか、何を伝えるべきか、手探りの部分も多い。だが、世代は違えど野球が好きな仲間。ものの10分も立てば、晴天のグラウンドには大きな掛け声がこだまし、笑顔が溢れた。前橋育英で主将を務める2年生の丸山大河選手は「今日は教えるというより楽しむことが目的でした。とても楽しかったです」と話す。高校球児の耳にも「子供たちの野球離れ」という言葉が届いているが、「こういう機会に僕たちも何か役に立てるといいなと思います」と思いを語る。
高校生も小学生も楽しめた野球教室。城田氏は「まだどういう形で野球教室を行うか、その形を作っている段階ですが、回数をこなしながら軸となるモデルを作っていければと思います」と話し、今後も群馬県高野連としてシーズンオフにあたる12月から2月までの期間を利用して、積極的に取り組んでいくつもりだ。
野球の魅力を少しでも多くの人々に伝え、野球を生涯楽しめるスポーツとするためにも、年代間の垣根を取り払った取り組みが大切なのかもしれない。
(Full-Count編集部)