巨人長野、広島移籍の計り知れない衝撃 内海に続く生え抜き功労者の流出
昨季116試合に出場した主力の人的補償は異例中の異例
またしても、衝撃の人選だった。新年を迎え、仕事始めとなった球団もあった7日に球界をまさかのニュースが駆け巡った。FAで広島から巨人に移籍した丸佳浩外野手の人的補償選手として、生え抜きのベテラン長野久義外野手が指名され、広島に移籍することとなったのだ。
昨年12月、炭谷銀仁朗捕手の巨人移籍に伴い、こちらも生え抜きの功労者である内海哲也投手が西武に移籍することになった。この時でさえ、大きな衝撃と波紋を呼んだのだが、今回はそれ以上の衝撃か。巨人が広島へと提出した28人のプロテクトリストから長野が外れ、生え抜きのベテラン、功労者が立て続けに人的補償で流出することになった。
フリーエージェント制度が発足した1993年から、2018年まで実に90人の選手がFA権を行使して、国内他球団に移籍した。その補償として昨季まで24人の人的補償が発生。多くの場合は将来性を考えた若手、さらにはピンポイントで弱点を補強できる一芸を持つ選手が指名される場合が多く、先の内海や長野といったベテラン、しかも、その球団の生え抜き功労者が指名されることはほぼなかった。もちろん、それぞれの球団がそういった選手をプロテクトしていたこともあるだろう。
内海の西武移籍時には、実績豊富なベテラン選手が人的補償として選ばれたケースをピックアップした。2005年の江藤智(当時35歳、巨人→西武)、2006年の工藤公康(43歳、巨人→横浜)、2011年の藤井秀悟(34歳、巨人→DeNA)、2012年の馬原孝浩(ソフトバンク→オリックス)が主なケースだったが、今回の長野に関しては、どのケースとも全くもって違う、前例のないものとなった。
というのも、長野は昨季、序盤こそ不振でスタメンから外れたものの、シーズンが終わってみれば、116試合に出場し、打率.290、13本塁打52打点の成績を残し、巨人の外野陣の中でも主力の位置にいた。これまでベテランで人的補償として選ばれた選手は成績を落とし出場機会を減らしていたり、怪我で不本意な成績に終わっていた。バリバリの主力選手が、プロテクトから外れて他球団へ移籍することは異例中の異例といえるだろう。
投手陣の精神的支柱だった内海が流出し、さらには、野手で阿部慎之助、亀井義行に次ぐ年長者だった長野が流出。大きな変革期を迎えている巨人だが、チーム内は大きく揺れ動いているのではないだろうか。
(Full-Count編集部)