現場と事業側の「適材適所」から――DeNA岡村球団社長が目指す“地産地消”構想
現場と事業側の融合「専門的な知見を持つ人が適材適所で」
事業側がチーム編成権を持った場合、選手出身の現場と距離感が生まれ、スムーズなチーム運営が為されない恐れもある。そこで岡村氏が掲げるキーワード「適材適所」だ。
「現場と事業側はお互いにいいところを出していけばいい。そっぽを向いた相容れないものであってはいけないと思います。現場に対する尊敬を持ちつつ、皆さんの力を発揮できるように、我々背広組は環境作りをやっていきたい。DeNAという企業が持つIT技術を生かしたデータを操るシステム環境、追浜のファーム施設のようなトレーニング環境の整備、オーストラリアの球団など海外との折衝というような仕組みを作ることは、中長期的な視点でチーム作りを考えた場合に重要だと思います。どちらが主導権を握るというわけではなく、それぞれ専門的な知見を持つ人が適材適所でチームを作っていければ」
事業側が作ったシステムや環境で、現場が力を存分に発揮する。あるいは、現場がより大きな力を発揮するために、事業側がよりよい環境を整える。選手も含めた現場とフロントが両輪となり、チームに関わる人すべてを巻き込んで、1年1年チームを強くしようと勝負し続けることこそが、球団経営のあるべき姿だと考えているという。
「何よりもファンの夢を背負うのは選手たち、そして勝敗の責任を負うのは監督。でも、彼らが伸び伸び力を発揮する環境を作るのは事務方の仕事。現場も頑張っている。我々も頑張っている。そういういい意味での緊張関係があるからこそ、チームを強くしたいと一層燃えると思うんです」
横浜、そして神奈川とともに発展するチーム作りを目指す上でも、1つのモデルとして確立したい形がある。それが「追浜で育ち、ハマスタで活躍し、そして指導者になる」という流れだ。