プロ野球・春季キャンプの起源は? MLBはカブス、NPBは巨人がスタート
日本のプロ野球での春季キャンプの始まりは1946年の巨人
現在、MLBのスプリング・トレーニングは、グレープフルーツ・リーグ、カクタス・リーグともに15球団で構成されている。MLBのスプリング・トレーニングは、NPBでいう「春季キャンプ」と「オープン戦」が一体になったものだ。練習だけをする期間は短く、すぐに試合が始まる。選手に出場機会を与えるために、チームを2つに分けて、1日2試合をすることもある。
また、正式契約していない選手も「招待選手」として参加する。彼らはスプリング・トレーニングで結果を出してメジャー契約を得るために奮闘する。「招待選手」にとっては、スプリング・トレーニングは、真剣勝負の場となる。
日本のプロ野球も、草創期から合宿をよく行っていた。職業野球開始年の1936年9月、東京巨人軍は群馬県館林市の茂林寺の分福球場で、キャンプを張り、猛特訓を行った。これによって後期シーズンに優勝。「茂林寺の特訓」は、球史に残る逸話となっている。
春季キャンプは、終戦直後の1946年、巨人が旧制松山高校で行ったのが始まりとされる。食糧難が厳しかった時代だけに宿舎では十分な食事が出なかったために、選手は米や味噌、醤油をリュックに詰めて汽車に揺られてキャンプ地に集まった。練習の後は道後温泉につかって疲れを癒したという。
資金的に余裕のなかった他球団は、キャンプを張る余裕はなかったが、本拠地球場に選手を集めて練習をし始めていた。ここから始まって70年余、プロ野球の春季キャンプは多くのファンを集め、地域に大きな経済効果をもたらす一大イベントになったのだ。
(広尾晃 / Koh Hiroo)