名門サッカークラブ+軟式野球チーム 「東京ヴェルディ・バンバータ」が誕生したワケ
軟式野球チームが東京ヴェルディと連携、その狙いは…
東京ヴェルディ・バンバータという野球チームをご存知だろうか。
東京都軟式野球連盟1部所属の軟式野球チームだが、2008年に「東京バンバータ」という名前で設立されたアマチュア野球チーム。「3年で日本一を獲らなかったら解散!」と大きな夢を掲げながらも、ごく普通の草野球チームとしてスタートした。
高校・大学・社会人・プロ経験者をメンバーにもつチームだが、「普段仕事をもっていなかったら入団できない」という条件で選手を募り、発足から3年後の2011年には「高松宮杯第55回全日本軟式野球大会2部」で初優勝。公約通り3年で日本一のタイトルを獲得した。その後チームはどんどん大きくなり、オープン形式の軟式野球大会などで合計4度の全国大会優勝を成し遂げ、スーパー軟式野球チームとなった。
その東京バンバータが、サッカーであまりにも有名な「東京ヴェルディ」と提携することが昨年発表された。
1月19日に都内のホテルで行われた「東京ヴェルディ創立50周年記念事業発表会」では、東京ヴェルディの新しいロゴデザインが発表され、総合型スポーツクラブとして提携する、13競技16チームの新ユニフォームもお披露目された。
東京ヴェルディの羽生英之社長は、サッカービジネスの枠を超えたブランドビジネスの展開について、競技性向上、スタジアム建設、ファン拡大といったエンターテイメントの創造・発信と、他競技展開の推進としてスポーツを通した人材育成にも力を入れていくと発表した。その一環として、軟式野球チーム「東京バンバータ」と提携する運びとなったのだ。どちらも東京を本拠地とするチーム。名前は「東京ヴェルディ・バンバータ」だ。
「東京ヴェルディ・バンバータ」代表の熊本浩志氏は「東京のチームであること、総合型スポーツクラブを目指していくこと、育成の取り組みもしていきたいということ、そしてたまたまですけど、チームカラーが“緑”ということもあって、フィロソフィーが近いので、それなら一緒にやっていこうかなって」と提携の経緯を話す。
しかし、サッカーのイメージがあまりにも強い東京ヴェルディとの提携に抵抗はなかったか……。熊本代表は「僕はなかったんですけど、まわりで10年バンバータを応援してきてくれてきた人の理解を得るのは大変だったかなと。『なんでヴェルディ?』という声もゼロではなかったんで」と明かす。周りには、違和感を持った人もいたようだ。
だが、続けて熊本代表はこう続けた。
「今回新しく今までのヴェルディのイメージを変えていくということも含めて、サッカーのヴェルディも新しい一歩を踏み出すということなので、我々も新しい一歩を踏み出すっていうことでいうと、過去は過去。これからはこれから。これまでも我々は守りに入ったことがなくて、毎年毎年新しいことをやっていくっていうのが、バンバータの基本姿勢だったので、そういう意味では全く問題なかったですね」