早期発見で野球少年の未来を守る 無料で行われる「野球肘検診」とは?

1日で724人の子どもたちが受診、保護者向けに講習と栄養指導も

 検診が終わった子どもたちは、スポーツリズムトレーニングを体験した。これはリズムに合わせて体を動かすことで運動パフォーマンスを向上させるトレーニング。下肢障害を予防するうえで大いに効果がある。さらに指導者によってストレッチなどの運動指導も行われた。

 また、保護者向けにはOCD発生のメカニズムを分かりやすく説明する講習と栄養指導が行われた。野球肘検診は、全国で行われているが、OCDなど異常が見つかると子どもを試合に出すことができなくなるため、受診しない指導者や主力級の選手を外して受診する指導者がいるといわれている。こうした事態を避けるためには、指導者ではなく保護者に野球肘の知識を正しく身に着けてもらう必要がある。保護者に対する座学は、そういう意味で非常に重要だ。

 朝10時から午後5時まで、1日で受診した子どもは724人。当初は800人以上を予定していたが、インフルエンザの流行もあり予定をやや下回った。この中で12人の子どもにOCDが見つかった。また5人が疑わしい症状と診断された。講習を受けた保護者は192人。

 主催者のHBCA兵庫野球指導者会、谷中康夫代表は、「この検診は、強制ではなく任意の参加です。それでもこれだけ受診してくれたのは成果だと思います。病院、医師の皆さんのご厚意で受診費用は無料です。また諸経費は株式会社アシックスさん、大塚製薬さんなどのスポンサードで賄っています。医師や企業も、野球少年の健康を守る取り組みに賛同してくださっているのです。来年以降も実施する予定ですので、楽しく野球を続けるために、ぜひ受診してほしいですね」と語った。子どもたちの未来を守るため活動を続けていく。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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