正岡子規に「野球拳」の発祥…野球王国・愛媛が仕掛ける野球ファン拡大への施策
2018年より「えひめ 愛・野球博」を開催
正岡子規に野球拳おどり――。野球は愛媛の人々の生活に根付いている。2018年より、愛媛県では「愛・野球博」が実施されている。開催にあたり、中村時広県知事や愛媛の各市町村の長も名を連ね、県内のスポーツ・野球競技団体や経済・観光団体も参画する、愛・野球博実行委員会が組まれた。
きっかけは2017年。愛媛県で開催された第72回国民体育大会は盛況に終わり、大会後のスポーツ気運の盛り上がりを継承発展させる必要があった。また、五輪での野球・ソフトボールの再採用、さらにこの年は“野球の祖”として知られる正岡子規の生誕150周年の節目を迎えていた。
野球を題材にした短歌や俳句を多く詠み、野球殿堂入りもしている俳人・正岡子規が、米国のベースボールを故郷の松山に持ち帰り、約130年が経った。「野球するなら~」で始まる「野球拳」の発祥の地である。しかし、野球王国と謳われた愛媛県にも、近年叫ばれている野球における競技人口の減少の波が押し寄せている。
愛・野球博は、「野球王国・愛媛」の認知度向上および「野球の聖地」としての地位の確立、魅力等の発信を目的とする。野球の競技人口やファン人口に加え、交流人口を増加させ、地域経済の活性化を目指すという、「愛媛県を野球の聖地に」をモットーとした愛媛県が一丸となって実施する事業だ。
「愛・野球博」は、野球を「する」という垣根を超え、マンガ、ネット、ゲームなど様々な事業を展開する。正岡子規が野球を“詠んだ”ように、また一人ひとりがそれぞれの野球の楽しみ方を見つけてきたように、文化としての野球に焦点を当てたイベントも特徴的だ。
2018年8月26日に行われた「愛・野球博」のオープニングフォーラムでは、古田敦也氏、二宮清純氏、片岡安祐美氏によるパネルディスカッションが行われ、高校生によるブラスバンド演奏とチアリーディングが華を添えた。