「30歳でドラフト指名は夢がある」―NPB入りを狙う台湾2年目の日本人152キロ左腕

シーズンに向けてトレーニングに励む知念広弥【写真:(C)PLM】
シーズンに向けてトレーニングに励む知念広弥【写真:(C)PLM】

異国の地で「助っ人」として奮闘し、念願のプロ初登板を果たした2018年

 18年から異国の地で「プロ野球選手」としての第一歩を踏み出した。1軍に登録できる外国籍選手3人に次ぐ「第4の助っ人」という立場ながら、2軍で主に先発として18試合に登板して5勝1敗、防御率3.10をマーク。球速も152キロまでに上がった。その活躍が認められて8月に1軍昇格を勝ち取ったが、ここでも「3回投げるチャンスがあったが、2回潰れてしまった」という不運に見舞われてしまう。そのうちの1つは中継ぎ登板直前で雨で中止となった試合があったが、ここで極度に緊張したことが8月22日のプロ初登板初先発に生かされた。デビュー戦では緊張することもなく、4回まで犠飛の1点のみに抑える好投を見せた。

 だが、1球の気の緩みが命取りになった。5回2死。外角スライダーを投じ、「打ち取った感覚があった」という。攻守交代を確信してベンチに帰っていったものの、打球は予想以上に飛んでフェンス直撃。「結果的に、そこでちょっと気持ちが乱れたかもしれません」。そこから連打を浴びて6失点。4回2/3を7失点で敗戦投手となった。次回登板予定もあったものの、その試合も雨天中止に。8月31日には球団から自由契約を通告された。

 しかし、練習に臨む姿勢やハングリー精神が二軍の若手選手たちに好影響を与えていると評されるなど首脳陣からの評価は高かった。契約解除と同時に秋季と春季のキャンプ帯同が認められた。その後は台湾のアマチュアチームで実戦経験を積む選択肢もあったが、すでに来季に向けた明確なビジョンを持っていた。「体力面についても言われていましたし、課題が明確だったので、実戦を積むよりも今出ている課題を修正したかったんです。翌シーズンに向けて、とにかくトレーニングとブルペンの量を増やしたかったので、アマチュアの話は断りました」。球団側もその意図を汲み取り、戦力外となった外国籍の選手をキャンプまで有給でチームに帯同させるという、知念自身も「普通はありえない」という異例の待遇で迎えた。これも左腕の姿勢が周囲に良い影響を与えていたからこそだが、本人は自然体だった。「僕としては普通のことしかやっていない。台湾人の若手も質問しに来てくれたので、そこにはしっかり答えたつもりです」。面倒見の良さも含めた人柄が“契約延長”を手繰り寄せた。

 今オフは2軍の球数制限の影響もあって課題となっていた体力面の向上を目指すべく、マリナーズ・イチローも取り入れている”初動負荷理論”に取り組んでいる。今季の目標をこう掲げた。「僕は、統一ライオンズさんに猶予をもらったと思ってるんですよ。なので、絶対に1軍で活躍したいし、活躍すればもしかしたら(NPBが)見えてくるかもしれない。今年はワンステップ、ツーステップ上がれるチャンスがあるので、そこを目指して頑張りたいですね。1軍で活躍、NPB指名。30歳で指名となれば、夢があるじゃないですか」。諦めがいい方か、悪い方かと問うと、知念は「悪いほうだと思いますよ」と笑う。波乱万丈の野球人生を経て異国の地で挑戦を続ける152キロ左腕。台湾球界で名をあげ、そしてNPBのマウンドでその勇姿を見せてくれる日を心待ちにしたい。

【図表】台湾で奮闘中の知念広弥 過去に在籍していたBCリーグでの成績一覧

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